3月15日(土) 炎のサッカー日誌 2003.01
福田正博が現役続行か引退かで悩んでいた頃、さいたま市在住自称身長165cmの小さなサポーター(以後165サポ)も深く悩んでいた。今後のレッズサポを続けるか否か。その悩みは周りの想像以上に深く、毎晩梅酒を飲んで酩酊するほどのものであった。
今期限りでレッズサポを辞めるかどうか…という深刻な悩みに福田の引退はそれほど関係なかった。その165サポが悩んでいる理由は、しごく簡単な理由で、レッズよりも好きなものが出来てしまったことだった。そのレッズより好きなものは、深酒した足取りで布団に潜り込む165サポの隣に寝ている2歳になる娘であった。
サラリーマンの生活は、月曜から金曜のほとんどを拘束されているといって等しいものである。朝起きて30分後には家を飛び出し、夜遅く帰宅すれば、食事と風呂で一日が終わる。そのほんの短い家庭生活において、娘は深い眠りのなかであることが多い。子供との関わりなんて現在のサラリーマンに求めるのは不可能なのではないか。どんなに一緒に遊びたいと願っても、唯一の時間は休日に限られるのだ。
冬のある日曜日。165サポは天皇杯3回戦に向かった。その日レッズはあっけなく敗退し、サッカーの、あるいはサポーターの一年が終わった。自転車に乗り帰宅すると自宅の前の広場で幸せそうな家族がボール遊びをしていた。それは165サポの娘と同じ年頃の娘を二人抱えた近所のお父さんであった。
自転車でその家族に近づくと、そのお父さんが大きな声で165サポに挨拶した。「こんにちわ~。帰ってきたよ~、パパが!!」なんとそのお父さんにまとわりついて遊んでいたのは、165サポの娘であったのだ。娘は覚えて間もない挨拶の言葉を口にした。「コンチワ」
それ以来、165サポの悩みはより深刻なものになっていった。梅酒のパックは3日ももたず空になり、元々少ない頭髪は掻きむしられ抜け落ちていく。このまま続けていけば間違いなく父親不在の家庭になるだろう。妻はあっけなく「どうせ辞められないんだから、悩んでいるだけ無駄」と呟いたが、そうでもなく、165サポは周りの想像以上に子煩悩であったのだ。
そうこう悩んでいるうちにシーズンチケットの継続案内が届き、そのことを実家の両親に伝えると、自分たちの分としてすぐさまお金を送って来られてしまった。こうなると散々親不孝な生活をしてきた165サポの頭の中に親孝行という文字が浮かぶ。人生は思いのほか、多くのものに振り回されるものだ。
結局、165サポは、何の決心も決断もできないまま、シーズンチケットを継続し、今季も駒場スタジアムの自由席の人となったのである。10年間続けてきたことを辞めるのは、新しいことを始めるより難しい…。
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本日、ナビスコカップの予選リーグが行われ、浦和レッズは東京ヴェルディに0対1の敗北を期した。あの優勝騒ぎをしていた02年10月19日の勝利を最後に黒星が続き、いまや公式戦10連敗。おまけにその間に挙げた得点はたった2点で、これじゃどんなチームだって勝てやしないし、騒ぎようがない。
もう半年もレッズは勝っていないのだ!!
165サポは深く後悔している。
これなら娘のサポーターになれば良かったと…。