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6月12日(木)

 朝、会社のカギを開けていると、扉の向こうで電話が鳴っていた。スーツの上着を投げ捨てあわてて電話に出ると事務の浜田からで「ちょっと具合が悪くて、今病院に行っているところです」という連絡。だったら休みなよと伝えるが、今日は経理の小林が休暇を取っているから、遅れてでも出社すると言い張る。

 というわけで、午前中はひとりで会社にいることになる。たまにはこういう静かな日も良いなと暢気にコーヒーを煎れていたが、次から次に電話が鳴り(その多くがセールスや金貸しなのにはビックリ)まったく飲む暇がない。会社って忙しいんだなあ。

 午後になって、無理を押して浜田が顔を出すが、顔色が非常に悪く、とても会社に一人残らせられる状態ではないことがわかる。実は本日は〆日前で、かなり激しくジグザグ営業をしたかったのだが、こうなったら仕方ない。電話で事情を話し、訪問出来ない書店さんから注文を頂くことに…。

 しばらく仕事をしていた浜田はうううと唸り、ちょっと二階のソファーで横になると言いだす。
「だから来なくて良いって言っただろうに」
「でも迷惑をかけちゃうから…」
「来た方が迷惑なんだよ」

 浜田はじっと下を向き、涙目になってしまった。
 うーん、伝えたいことがうまく伝わらずもどかしい。