6月16日(月)
今月の新刊『記憶の放物線』北上次郎著の見本を持って取次店廻り。
この本のカバーに中年男性のイラストが描かれているのだが、それがあまりに北上次郎(目黒考二)に似ておらず、ということは太ってなく、寝間着姿じゃなく、魚焼きロースターが似合わないということなのだが、そのイラストがあがってきたとき思わず僕「詐欺だぁ!」と叫んでしまった。
そう叫んだとき、たまたま北上次郎(目黒)が近くにいて、北上次郎はそのまま無言でイラストと僕を見つめ、自分の部屋へ戻っていってしまった。これできっと僕の昇進も昇給も遠のくのだろう…。
その詐欺カバー本を持って本日取次店を廻ったのだが、TA社の仕入窓口で、担当者に本を渡すと「あっ!……」と、約3秒間の空白の時間が生まれてしまった。きっと、この担当者も、本物の北上次郎(目黒)を知っていて、あまりの違いに絶句したのだろう。
「スミマセン、ウソついてます」と謝りそうになったが、担当者さんが「いや何でもありません、失礼しました」と通常の対応に戻られたので、その言葉は飲み込んだ。いやはや。セーフ。
ところが、やっぱり騙せない人はいるもんで、古いツキアイの地方小出版流通センターのKさんは見本を見た瞬間、いきなり爆笑される。「ハハハ、何これ? 目黒さん? あまりに違うんじゃない」。こうなったら一緒に笑うしかないので、僕も一緒に笑ってしまう。
「アハハハ、そうですよね、あまりに違いますよね。これが目黒だっていうなら、僕やKさんが描かれたらマッチ棒みたくなっちゃいますよね、もしこれでファンが増えたら許せないですけど、でも実物を見てすごいショックを受けますよね、その顔が見たいですよね」
そんなことを5分間、話続けてしまった。
ああ、昇進は遠のくばかりだ。