8月27日(水)
営業カバンにレッズのユニフォームを入れ、会社を飛び出す。
今夜はナビスコカップ準々決勝第2戦という、それはそれは大事な試合があるのだ。ここで勝てば決勝はもうすぐそこだ。おお、去年の興奮を思い出す。勝ってくれレッズ、僕も仕事を頑張るから…。
水道橋のA書店Hさんを訪問すると、棚替えがされていてビックリ! 文芸書の棚はどこへ?と冷や冷やしながら確認すると、とりあえず今まで同様良い場所で、しかも量も変わりがなく一安心。良かった、良かった。
マロニエ通りを歩いて、次はリニューアルオープン間もない御茶ノ水M書店を訪問。こちらは棚や照明、床も変えるかなり大々的なリニューアルをしたのだが、棚の配置はほぼかつてのまま。常連の多いこの立地であれば、あまり変えないのもひとつの手。
その後は神保町を営業し、タイムアップ。都営新宿線の乗り込み、笹塚を素通りし、飛田給にある味の素スタジアムへ。
「炎のサッカー日誌 2003.09」
サッカー観戦を一段と盛り上げる要素はこの4つだと思っている。
1 その試合の勝利に重要な意味があること。
2 相手選手が小汚いファールをくり返す。
3 相手サポーターと遺恨がある。
4 審判の判定が相手チームに偏る。
本日のナビスコカップ準々決勝第2戦である浦和レッズ対FC東京では、上記のうち3つが揃った。
1 この試合に勝ったチームが準々決勝であり、決勝もすぐそこ!
3 FC東京サポは、かつてやたらに気に障るコールをくり返していて、しかも止せばいいのに我らレッズサポが一番大事にしていた『福田コール』をパクった。それ以来深い遺恨があるのだ。
4 主審の奥谷を始め線審までもが、もろにFC東京よりのジャッシをしやがった!
ここまでおいしい試合を用意するなんて、まさに味の素スタジアム!
燃える燃える。大興奮。いつも以上の大声を張り上げ、飛び跳ねる。
前半の前半はレッズがかなり押し込んだものの、観戦仲間の「来れば負ける」ジンクスを持つ悪霊O氏が遅れて顔を出しその雲行きが怪しくなる。思わず僕、O氏を強く睨む。
FC東京は全員守備全員攻撃で、しかも攻守の入れ替えが素早い。レッズのボールを中盤で奪い取ると、サイドから抉るように一気にゴール前に持ち込んでくる。その度に冷や汗がタラリと垂れ心臓が止まりそうになるが、レッズDF陣も集中を切らすことなく、前半を無失点で凌ぐ。
ハーフタイムは、悪霊O氏の除霊作業をする。O氏もうなだれて、素直に従う。
後半が始まってもFC東京ペースは変わらない。いったい何本のクロスがレッズゴール前を飛び交ったのだろうか?しかしDF陣も必死に壁を作り、跳ね返す。その姿を見ていて、僕はあることに気づいた。
レッズの、特にDF陣にはあるひとつの共通認識ができつつあるということだ。それは自分たちが頑張って無失点で凌げば、わがまま小僧改めスピード小僧エメルソンがどうにかしてくれるという想い。こういう共通認識ができたチームは強い。
後半15分、その共通認識どおり、エメルソンが優等生内舘から絶妙なスルーパスを受け、一気に相手ゴール前へ。FC東京のディフェンダーは二人がかりで必死に追いすがり、GKも絶好のポジショニングでゴールを防ごうとした。しかししかし、それを上回るスピード&テクニックでエメルソンの完璧にコントロールされたシュートがFC東京のゴールネットを揺らす。
凄まじい歓喜が浦和サポに起こる。悪霊O氏は僕に力強く抱きつつ、大声で叫んだ!
「オレは悪霊じゃない!!!」
ところがこれで一気にレッズペースになるかと思いきや、FC東京の凄まじい攻撃は続く。僕は何度も小便をチビリそうになりつつ、悲鳴をあげる。早く終わってくれぇ。
凍りついた心臓を解凍してくれたのは、またもやエメルソンだった。
前がかりになったFC東京DF陣を一気に切り裂き、またもや絶妙にコントロールしたシュートを放つ。2対0。そして試合終了のホイッスル。
挨拶に来た選手へ僕は叫んだ。
「国立(決勝)に行こうぜ!!!」