WEB本の雑誌

10月3日(金)

 午後、出版業界の専門誌、新文化のIさんから『本屋大賞』の件で取材を受ける。

 営業マンというと「とにかく一方的に話す人」をイメージする人も多いかと思うけれど、実はデキる営業マンを観察してみると「話を聞く」のがうまい。それに気づいて以来というか、そもそも話下手でうまく人と話せず「うなずきトリオ」みたいな営業しかできないもんだから、書店員さんと顔を合わせたときは興味のあることや疑問に感じることを「聞く」ようにしている。そうすると自然にコミュニケーションが取れるようになり、逆に伝えたかったことが端的に伝わったりするのは不思議なもんだ。

 というわけで僕の一日は基本的に「聞く」ことに徹しているので、その逆に取材なんていう話しをなければならない場は非常にキツく、おまけに常に裏方でいたいと思っているので表に出るのもツライ。しかしとにかく我が身を捧げている『本屋大賞』のことなら、何でも引き受けるしかないのである。

 そんな不安や暗い気持ちを抱えていたのだが、記者のIさんが、「聞く」ことの上手い人で、知らないうちにベラベラしゃべりだしている自分がいるではないか。まさにプロってことか…。おまけに話も合って(合わせてくれたのかもしれないと今気づいたが…)あっという間の2時間。最後には再会の約束までして別れてしまった。