12月1日(月)
一向に降り止む気配のない雨のなか、今月の新刊『書店風雲録』田口久美子著の見本を持って取次店を廻る。右肩にかけた営業カバンは10kgを越え、左手に持った見本本は11冊で5kgちかくある。
コンクリートにめり込むような足取りで見本本が濡れないように傘をさしつつ、御茶ノ水、飯田橋を廻るのは大変の一言。しかしこの『書店風雲録』は、自分で企画して原稿依頼し、単行本化した初めての本であり、その喜びに比べたら苦労なんて吹っ飛んでしまう。
それぞれの取次店へ廻って、その足でジュンク堂書店池袋店へ向かう。
著者である田口さんへ出来上がったばかりの『書店風雲録』を届ける。こんなことは営業マンである僕がすることではないのかもしれないが、どうしても自分で届けたいと金子からその大役をふんだくった。
「お疲れさまでした、そしてありがとうございました」と封筒に詰めた『書店風雲録』を田口さんに渡す。思わず涙がこぼれ落ちそうになってしまい、顔を下に向けた。
田口さんは子供がプレゼントを慌てて紐解くように、封筒から本を取り出した。
しばらく沈黙が続き、田口さんは「ありがとう、こんなに素晴らしい本にしてくれて。金子さんも浜本さんも大変だったと思うけど、ほんとうにありがとう」と何度も何度も本を撫でながらそう呟いた。
本が出来上がるまでには多くの時間がかかる。
そして多くの人間が関わる。著者の想い、編集者の考え、営業の思惑、そして印刷所や製本所の人達の苦労、あるいは装丁家や校正家の地道な作業。
11月の下旬には、一日400点を超える大量な新刊が、生まれたという。その1冊1冊にそれぞれの想いがある。いや想いがあって欲しいと思うし、僕自身、すべての自社本に想いを持ちたい。
『書店風雲録』は僕にとって、僕の存在証明のような本だ。