『ホルモー六景』

ホルモー六景
  • 万城目 学 (著)
  • 角川書店
  • 税込 1,365円
  • 2007年11月
商品を購入する
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
  1. ゴールデンスランバー
  2. ホルモー六景
  3. みなさん、さようなら
  4. 雨の塔
  5. MM9
  6. 神なるオオカミ(上下)
  7. ナツメグの味
佐々木克雄

評価:星2つ

 デビュー作『鴨川ホルモー』を読んだとき、「すっげーの出てきたな」と思った。京都を舞台に学生たちがオニを戦わせるなんて、何て奇想でポップなんだろと。ただ、力で押しまくる文体に違和感を覚えたのも事実だった。浅田次郎センセを北島三郎クラスの大御所とすれば、万城目氏は駅前でギターかき鳴らしてるアンチャン、みたいな。
 時は流れ、2作目は直木賞候補に挙がり、TVドラマになるなどイイ感じになり、そしてこの3作目なんですけど……ゴメンナサイ、飽きました。もう新鮮味を感じないんです。デビュー作のサイドストーリー集と捉えればいいのだろうけど、いまだに「ホルモオオオォォォーッ」って叫ばれてもねえ。そのうち「ホルモー? オッパッピー? どっちも去年流行ってたね」になっちゃうかも。京都系好敵手(なのかな?)森見登美彦氏が毛深き家族愛小説で新境地を見せている今、距離はどんどん開いていっちゃうゾ。というワケで、次回作に期待いたします。

▲TOPへ戻る

下久保玉美

評価:星2つ

 もし、誰かに薦めるなら前作『鴨川ホルモー』と2冊セットで薦めてください。セールス文句は「コレを読めば『鴨川ホルモー』が100倍面白くなる!」とかで。あと、『鹿男あをによし』もちょっと出てくるのでマキメファンならあと数倍くらいは楽しめます。逆に言えばですね、本書は前作のサイドストーリーと次の長編の導入部だけで構成されているので前作を読んでないとさっぱりわからない、ちっとも楽しめない、頭の中が疑問符だらけになります。あ、そうか。これを読むことで前作を読ませようという魂胆か! ヤラレタ。
 とは言うものの、第2景と第6景は単独で読んでもなかなか面白いです。楠木さん、素敵です。あと、第1景の女心の描写が生々しくてたまげた。マキメさん、あなたは女性ですか?
 最後に。角川書店さん、次の長編には京都の地図をつけてください。よろしくお願いします。

▲TOPへ戻る

増住雄大

評価:星2つ

 最初に一点。本書は、前作『鴨川ホルモー』に登場したサブキャラクターたちの「スピンオフ」短篇集です。そのため、前作を読んでいないと楽しめない箇所が多々あると思います。なので、この作品だけ単独で読むのは絶対に薦めません。
 つーわけで、ここからは書評の読者が前作を読んでいることを前提にして話を進めます。
 今回は「ホルモー」をちょっとだけ脇にどけて、六篇全部が「恋」の話。前作であんまり語られなかった京大以外の大学のサークル事情、OB・OGがどうしているか、あの人物の彼女について、などが語られる。物語自体のおもしろさに加え、前作のあの場面の裏側ではこうなっていたのか的な楽しみも出来て、どれもが一粒で二度美味しい作品群に仕上がっている。
 ただ、前作レベルのおもしろさを期待していると、もしかしたらがっかりしてしまうかも。悪くないんだけどなー。思わずほろりとさせられる話もあるし、そういうことだったのか! と膝をうちたくなるような話もあるし。

▲TOPへ戻る

松井ゆかり

評価:星5つ

 全国一億三千万人のホルモーファン諸氏(数字には潜在的ファンやこれからファンになる可能性を有する人も含まれています)、あのホルモーが帰ってきた! とはいえ本書では、ホルモーはあくまで各短編の主人公たちの結びつきを示すキーワードである。そう、今回描かれているのは彼らの恋模様なのだ。
 これはぜひ、あの不朽の名作「鴨川ホルモー」をお読みになったうえで手に取っていただきたい。もちろん予備知識なくとも楽しめる短編もあるが、「鴨川〜」を読んでいればおもしろさは天井知らず。どの作品もいいのだが、特に心を打たれたのは「ローマ風の休日」と「長持の恋」。とりわけ後者は号泣必至。
 というわけでホルモーファン諸氏(&さだまさしファンの皆様。あの曲は名曲ですよね)、必ず読むべし。

▲TOPへ戻る

望月香子

評価:星4つ

 『鴨川ホルモー』の登場人物が主人公となった6編の恋物語。
読書家ならば、必ず読んでいるとされるくらい勢いのある『鴨川ホルモー』ですが、実はわたし、まだ未読でした…。一編目を読んで、はて、ホルモーとは? と知りたくてうずうずしてきたので『鴨川ホルモー』を購入して読んでから『ホルモー六景』を読みました。
 今さらですが、面白い! 今回の『ホルモー六景』も、類別できない恋物語です。スタッカートが効いているような文体に、はまってしまいました。「ホルモー系」という分野を興して、もっと続編を出してほしいです。

▲TOPへ戻る

<< 課題図書一覧>>