『悶絶スパイラル』三浦しをん

●今回の書評担当者●山下書店世田谷店 漆原香織

2023年になって、早くもひと月経とうとしております。
あっという間に2024年になるのではと、今から戦々恐々としている、山下書店世田谷店の漆原です。
みなさま、こんにちは。

さて2023年最初の一冊は、三浦しおんさんの『悶絶スパイラル』です。

先週、第168回直木賞が発表されましたね。
私が三浦しをんさんの作品に出会ったきっかけは直木賞でした。
第135回の直木賞を受賞され、とある書店で作品がばばーんと並べられおり、手に取ったのが出会いでした。
当時推し活をこじらせKリーグを毎試合観戦したいがために韓国に留学していたのですが、生活の毎日がハングルに埋め尽くされ、日本語活字不足に陥って、一時帰国した際に『とりあえずたくさん並んでるし』と何作品か購入し、韓国に持ち帰ったのでした。

そして読み始めて、『なんで出てた作品全部買わなかったんだ!』と後悔...。それほどにハマってしまった。

その後、ずっと追わせていただいているのだが、小説はもちろんのこと、エッセイの面白さ!!

直木賞作家という偉大な方なのに、勝手に身近に感じております。

マンガだらけなことも、積読タワーに押しつぶされそうなことも、オタク気質なことも...。
読むたびに、『そう!そうなんだよー!』と激しく共感してしまう。
それ以外の日常の一コマも面白おかしく、『最近疲れてるな...』と感じたら、読みたくなる私の心の常備薬本です。

エッセイはシリーズで何冊か出ていて、どれもお勧め!
この『悶絶スパイラル』は、なんでもベスト5が収録されており、『理想のヒーロー』『泣ける漫画』など、マンガガイドとしても楽しめます。
文庫本の巻末には、カバーイラストを描かれている松苗あけみさんの解説漫画まで!
なんと太っ腹な内容でしょうか...。

忙しい毎日に疲れたら、通勤・通学のお供にぜひ。電車内でもしかしたら三浦しをんさんに気づいてもらえるかも...。

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山下書店世田谷店 漆原香織
山下書店世田谷店 漆原香織
『推し活』という言葉が出来る◯十年前より、推し活人生を送っている人。趣味は読書と旅行(推し活は生き様なので趣味ではない)。旅行好きが高じてここ約10年ほど海外添乗員を生業にしていたが、コロナにより強制終了。山下書店世田谷店に拾っていただき本に埋もれる幸せな日々の現在に至る。文芸書とコミックを担当。