●担当者●啓文社西条店 三島政幸

2017年4月20日更新

『尾道坂道書店事件簿』児玉憲宗

「今年の本屋大賞、行けなくなった。すまんけど一人で行ってくれる?」 こんな電話があったのは、2016年3月のある日のことだった。  そしてこれが、私が児玉さんの声を直接聞いた、最後の機会となる。『尾道... 記事を見る »
2017年3月16日更新

『人間じゃない』綾辻行人

 1987年9月5日。  綾辻行人『十角館の殺人』が講談社ノベルスから発売された日である(奥付の日付)。  そう、この日こそが、ミステリ界に新本格ミステリという新たなジャンルが生まれた日だったのだ。 ... 記事を見る »
2017年2月16日更新

『恐怖小説 キリカ』澤村伊智

 日本ホラー小説大賞はその選考が厳しいことで知られている。  佳作、優秀賞、読者賞までは出るが、大賞がなかなか出ない。公募の新人賞なのだから、多少は甘めに評価してあげても良さそうなものだし、主催する出... 記事を見る »
2017年1月19日更新

『死の天使はドミノを倒す』太田忠司

 売れない作家の鈴島陽一は父・亮介を病気で亡くした。その後の生活のため、父の預金を降ろそうとしたが、死亡者名義のものは相続の手続き上、簡単には下ろせないと判明。そのためには法定相続人全員の戸籍謄本と印... 記事を見る »
2016年12月15日更新

『Aさんの場合。』やまもとりえ

 私は「Aさん」側だが、「Bさん」や「課長」の気持ちもよく分かる。  ......いきなり何を言ってるのだ、と思われただろうが、今回取り上げる『Aさんの場合。』やまもとりえ(祥伝社)の話だ。  とある... 記事を見る »
2016年11月17日更新

『すべての「笑い」はドキュメンタリーである』木村元彦

 このコーナーの前任者で、私の上司でもあった啓文社の児玉憲宗さんが、数か月前にこんなことを言っていた。 「木村元彦『徳は孤ならず』(集英社)は傑作なので必ず読んでおくように」 『徳は孤ならず』は、サン... 記事を見る »
2016年10月20日更新

『傷だらけのカミーユ』ピエール・ルメートル

 ピエール・ルメートルに関して言えば、私は日本では実にラッキーな読者だった。 ルメートルが日本で大ブレイクしたのはもちろん、『その女アレックス』の大ヒットがきっかけである。2014年のミステリランキン... 記事を見る »
2016年9月15日更新

『許されようとは思いません』芦沢央

「泣ける小説」が、昔から苦手だ。小説を読んでいて、感動して泣きそうな気持になることはあっても、本当に泣いたことは多分一度もない。なので、書店で「絶対泣ける」とか書いてある本を、泣きたいからという理由で... 記事を見る »
2010年4月9日更新

『あるキング』伊坂幸太郎

「横丁カフェ」の私の担当も今回まで。最終回は是非とも、伊坂幸太郎氏を採り上げたい。伊坂氏は現代日本を代表する人気作家の一人であり、今さら私が紹介する必要はないかも知れないが、私と伊坂作品との関わりも含... 記事を見る »
2010年3月12日更新

『『屍の命題』』門前典之

湖畔の山荘「美島荘」は、外に断頭台が設置されている建物だ。行方不明となった大学教授の遺志を継いだ夫人によって建築された。その落成を祝い、教授ゆかりの友人たち6人が集まってきた。やがて雪が降り、外界から... 記事を見る »
2010年2月12日更新

『お好みの本、入荷しました』桜庭一樹

《じつは先月、入籍した》  断っておくが、入籍したのは私ではない。桜庭一樹氏がWEB連載エッセイ「続々・桜庭一樹読書日記」の2009年2月号において、冒頭いきなり入籍を発表したのだ。一般に報道されてい... 記事を見る »
2010年1月15日更新

『8・1・3の謎』モーリス ルブラン

 当コラムのプロフィールに書いたように、私は子どもの頃小説嫌いで、図書館では図鑑や科学読み物ばかり読んでいた。だから私と同世代のミステリファンが必ず通るはずの、「少年探偵団」シリーズや「怪盗ルパン」... 記事を見る »
2009年12月10日更新

『造花の蜜』連城三紀彦

  私にとって昨年(2008年)のベストミステリのひとつに、連城三紀彦氏の『造花の蜜』があった。ところがこの作品、昨年の年末にベストミステリのランキングが発表された際、ほとんど話題にならなか... 記事を見る »
2009年11月13日更新

『Another』綾辻行人

綾辻行人氏の作家歴は、そのまま「日本における新本格ムーブメントの歴史」でもある。島田荘司氏の推薦により『十角館の殺人』でデビューしてから20年が 過ぎ、最初のうちこそ批判にさらされていたものの、現在で... 記事を見る »
2009年10月9日更新

『復讐法廷』ヘンリー・デンカー

『復讐法廷』は、ヘンリー・デンカーが1982年に発表した作品で、日本では1984年に翻訳出版され、その年の「週刊文春ベストミステリー」で海外編1 位となった法廷サスペンスである。文春文庫版が長らく品切... 記事を見る »
2009年9月10日更新

『追想五断章』米澤穂信

米澤穂信氏の新刊『追想五断章』を読み始めた時、おやっと思った。今までの米澤作品のような若々しい筆致があまり感じられず、落ち着き払ったというか、地に足がついた感じと言ったらいいのか、明らかにそれまでとは... 記事を見る »
2009年8月13日更新

『まっすぐ進め』石持浅海

川端直幸はある日、新宿の書店で美しい女性を見かけた。清潔感のある佇まい、透明な表情、それはまさに「感動」と表現するのが相応しい。しかし彼女には1点、気になることがあった。その完璧な女性は、左手に、腕時... 記事を見る »
2009年7月9日更新

『本日、サービスデー』朱川湊人

43歳の鶴ヶ崎雄一郎は、ごくありふれた毎日を送っている。朝は会社近くの駅前、「本日、サービスデー」というのぼりが毎日立っているそば屋で、そのサービス品のゆで卵とかけそばを食べる。会社では課長だが、懸案... 記事を見る »
2009年6月11日更新

『龍神の雨』道尾秀介

道尾秀介氏は、今最も注目を集めている作家の一人である、ということに異論を唱える人は、あまりいないだろう。2004年に『背の眼』でホラーサスペンス大賞特別賞を受賞してデビュー。以降、2006年の『シャド... 記事を見る »
2009年5月14日更新

『弥勒の掌』我孫子武丸

今年で6回目を迎えた「本屋大賞」に、私も第1回目から投票に参加しています。既にご存知の通り、今年の受賞作は湊かなえさんの『告白』でした。私も二次投票で『告白』に投票しているので、大きな驚きはなかったの... 記事を見る »
啓文社西条店 三島政幸
啓文社西条店 三島政幸
1967年広島県生まれ。小学生時代から図書館に入り浸っていたが、読むのはもっぱら科学読み物で、小説には全く目もくれず、国語も大の苦手。しかし、鉄道好きという理由だけで中学3年の時に何気なく観た十津川警部シリーズの2時間ドラマがきっかけとなって西村京太郎を読み始め、ミステリの魅力に気付く。やがて島田荘司に嵌ってから本格的にマニアへの道を突き進み、新本格ムーブメントもリアルタイムで経験。最近は他ジャンルの本も好きだが、やっぱり基本はミステリマニアだと思う今日このごろ。