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2015年5月 豆しぼり背のび号 No.383

 対談や座談会は読めば楽しい宝の山なのに、われわれはあまりにも対談のなんたるかを知らなすぎているのではないか! というわけで、本の雑誌5月号の特集は「対談は楽しい!」。対談担当編集者座談会から、おススメ対談本ガイド、柴口育子の対談まとめ人生に、吉行淳之介の対談を支えた長部日出雄のインタビュー、坪内祐三が選ぶ座談の名手ベスト9に沢野ひとしの阿川佐和子論、そして読者のイチオシ対談本まで、対談の面白さを徹底追及する話言葉満開の超特集なのだ!

 新刊めったくたガイドは酒井貞道がじわじわ進む死刑囚ノアの物語に太鼓判を捺せば、倉本さおりは臓器がきゅっと縮む悪夢の結晶のような作品集を堪能。大森望が直球からオフビートまで翻訳学園もの3冊揃い踏み!を寿げば、円堂都司昭は伊坂幸太郎が鋭く描く"告げ口社会"で現実に喝! 沢田史郎が薬丸岳『誓約』をテン年代屈指のエンタメである!と断言すれば、堀部篤史はハーレムの書店からテキヤまでカウンターカルチャーの担い手を紹介。そして北上次郎は西川美和『永い言い訳』のうまさにびっくり。いやはや、うまい、と唸るおじさんと一緒に、そのうまさに驚こう!

 今月は、なんと小谷野敦が芥川賞卒業を誌面で宣言。文学賞の選考委員は任期制にせよ、という提言も含め、芥川賞を卒業する理由を明らかにするのだ。さらに服部文祥が猟銃かついで息子と出かける1泊2日の狩猟旅の顛末をハードボイルドに綴れば、柳下毅一郎が「平成の毒婦」の空っぽな小説に驚嘆。内田俊明が進化し続ける「不」と「希望」の作家・貫井徳郎の10冊を厳選すれば、おじさん三人組は永江朗氏をゲストに迎え、地方・小出版流通センターの倉庫に潜入。さらにさらに北村薫の新連載がいよいよスタートして、創刊40周年もカウントダウン。ますますパワーアップの本の雑誌5月号で春真っ盛りなのだあ!

目次

本棚が見たい!

芥川賞卒業宣言 小谷野 敦
新旧いろいろ面白本/わくわくするような夢のガイド本 椎名 誠 
吉野朔実劇場/娘が親の本棚を 吉野朔実 

特集:対談は楽しい!

座談会/予期せぬものを突っ込んでいくのだ! 川田未穂・久保友美子・松丸淳生 
長部日出雄インタビュー/まとめの秘訣は無駄話にあり! 柴口育子 
未知の場所への着地 古矢 徹 
城からアートまで対談本対談! 内田 剛 
乙女必読の田辺・瀬戸内対談 高頭佐和子 
座談の名手ベスト9 坪内祐三 
わが対談まとめ人生 柴口育子 
読者アンケート/この対談本が好きだ!

息子と狩猟に 服部文祥
柳下毅一郎の特殊な本棚・特別編/「平成の毒婦」の空っぽな小説  柳下毅一郎 
ひるね優先読書録 宮田珠己 
着せ替えの手帖/煮しめからサラダへ 内澤旬子 

新刊めったくたガイド

じわじわ進む死刑囚ノアの物語 酒井貞道
臓器がきゅっと縮む悪夢の結晶のような作品集 倉本さおり
直球からオフビートまで翻訳学園もの3冊揃い踏み! 大森 望
伊坂幸太郎が“告げ口社会”を鋭く描く! 円堂都司昭
薬丸岳『誓約』はテン年代屈指のエンタメである! 沢田史郎
ハーレムの書店からテキヤまで カウンター文化の担い手たち 堀部篤史
西川美和『永い言い訳』のうまさに驚く! 北上次郎

俊英・本城雅人が描く元サッカー少年たちの人生 宇田川拓也
取るべきか取らざるべきか 小野一光
カウンターの読書 徳永圭子
俊英ケン・リュウの傑作短篇集『紙の動物園』 山岸真
私は待ちうけてゐた、一心に、私は 秋葉直哉
職場の教養 浅生ハルミン
部落差別と地図 今尾恵介
世界のピケティを見比べる 日下潤一

活字に溺れる者/「捨てたい病」の研究 荻原魚雷
ユーカリの木の蔭で/道筋はさまざま 北村 薫 
坪内祐三の読書日記/「アサヒ写真ブック」を知ってるかい? 坪内祐三
連続的SF話/パタヤで読書実験 鏡 明
南の話/自殺してもピザなのか 青山 南
吉田伸子の「食えばわかる!」/最高のトーストと目玉焼き 吉田伸子
おじさん三人組+永江朗、地方・小出版流通センターの倉庫に行く!
日本SF戦後出版史/火星ヒットと〈創元推理コーナー〉の巻 高橋良平
遠くから見る世界文学 円城 塔
電気のない時代の夜の百科全書 風野春樹
昼映画・夜酒のコミさんエッセイ 若島 正
細野さんに導かれて今ここにいる! 青木大輔
ホリイのゆるーく調査/いろんな文庫本をハダカにしてみた 堀井憲一郎
今月書いた人 
今月本の雑誌に遊びに来た人 
掲載図書索引 

続・棒パン日常/一日一冊 穂村 弘
三角窓口/伊藤比呂美の「呂」の字はなんの「ロ」? 他
本の森で迷子になって 久田かおり

歩く旅/黄山を下る 沢野ひとし
貫井徳郎の10冊/進化し続ける「不」と「希望」の作家 内田俊明
後記

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