"パーフェクト受賞"の将棋小説

文=大森望

  • 小説現代 2010年 08月号 [雑誌]
  • 『小説現代 2010年 08月号 [雑誌]』
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 10月26日、文京区音羽の講談社本社で、第5回小説現代長編新人賞の贈呈式が開催された。
 受賞した塩田武士(しおた・たけし)『盤上のアルファ』は、"全選考委員が最初の投票でマルをつけてパーフェクト受賞を果たしたのは初めての快挙"(石田衣良)、"こんなこと、滅多にあるもんじゃない"(角田光代)という、満場一致の受賞作。
 版元の並々ならぬ意気込みを証明するように、(発売は来年1月にもかかわらず)そのまま書店の店頭に並んでもおかしくないような四六判上製本の"見本"(カバー・帯つき)がつくられ、会場で配られた。
 著者の塩田武士は1979年、兵庫県生まれ、関西学院大学卒。神戸新聞社勤務。受賞者あいさつにいわく、
〈さっそく上司に受賞を報告したところ、「それは記事にせなあかんなあ」「どうも、ありがとうございます」「じゃあ、きみ書いて」「えっ、自分が受賞した記事を自分で書くんですか」「きみが一番くわしいやろ」ということで、自分で自分の受賞記事を書くことになり、たいへん緊張しました。〉
 奨励賞に選ばれた吉川永青(よしかわ・ながはる)の『我が糸は誰を操る』は三國志に取材した歴史エンターテインメント。2011年、春夏秋に3巻の刊行が予定されている。こちらも話題を集めそうだ。
ちなみに小説現代長編新人賞過去の受賞作は、ヴァシィ章絵 『ワーホリ任侠伝』、田牧大和 『花合せ』、斎樹真琴 『地獄番』、加藤元『山姫抄』。今回の応募総数は900編を超えたそうで、回を重ねるごとに注目度が高まっている。

(大森望)

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