『うどんのうーやーん』岡田よしたか
●今回の書評担当者●TSUTAYA BOOKSTORE 下北沢 礒部ゆきえ
いらっしゃいませ。
まいど、礒部です。
突然ですが、皆さんは"元気を出したいときに読む本"って、ありますか?
私は何冊かあります。
"元気を出したいとき"にも色々あって、それによって手に取る本も変わりますよね。
人によっては、本だけじゃないかもしれない。
音楽でも映画でも、食べ物でも、そういう力になるものを持ってると、心強いと思います。
難しく考えずに、なんとなく前向きになりたい!
そんなときに、私が読む本。
『うどんのうーやーん』岡田よしたか(ブロンズ新社)。
出前の注文が入り、うどんのうーやん、自らお客さんの元へ向かいます。
うーやん、道中、色んな食べ物が困ったり、落ち込んだりしているところに出くわします。
その度に、「かめへんかめへん、ここ はいり」と、どんぶりの中に入れまくります。
うめぼしも、たこやきも、その他いろいろ、とにかく入れちゃう。
なんて懐が深いんや、うーやん。
「まあええわ」なんて言いながら、じゃんじゃん入れまくる。
もはや何うどんなのかわからないくらい、中身が溢れそうになりながら、川も、山も、乗り越えます。
「わたるしかないやろ」、「のぼるしかないやろ」と。
なんて潔いんや、うーやん。
うーやんを見ていると、自分、ちっちゃいなと思います。
出会った食べ物たちも、あったかいおつゆの中に入ると、落ち着くみたい。
ちょっと一緒に入ってみたいな、そのどんぶりに。
そしてなんと言っても、うーやんの関西弁がいい味を出しています。
食べ物同士のかけ合いも、笑っちゃう。
以前、大人だけの絵本の読み聞かせの集まりで、この本を50代の男性に皆の前で読んでもらったことがあります。
人の声で読むうーやんも、なんだかこそばゆいけれど、嬉しい。
いつの間にか、皆で爆笑しながら、元気をもらっていました。
誰かと分かち合う読書も、ぜひ一度体験されてみてはいかがでしょうか。
え、そんな相手いないって?
よっしゃ、旭屋書店池袋店に来たらええがな。
礒部が読んだるやん。
みんな、ここ はいり。
あっためてあげようやないの。
まだうーやんのようにはなれないけれど、わたしのどんぶりには、少しだけでも、あったかいおつゆを入れておきたいと思います。
今日も、うーやんは山を登っているのかもしれない。
私もいっちょ、この山登ってみるかな。
- 『野ばらの村のピクニック』ジル・バークレム (2021年9月16日更新)
- 『きこえる?』はいじまのぶひこ (2021年8月19日更新)
- 『食いしんぼう編集者も夢中になった 愛しいおかず』ウー・ウェン (2021年7月15日更新)
-
- TSUTAYA BOOKSTORE 下北沢 礒部ゆきえ
- 1983年大阪生まれ。5年前に関東へ嫁いできました。2022年3月30日オープンのTSUTAYA BOOKSTORE 下北沢に出向中。おいしいカレー屋さんをたくさん見つけるのが、今から楽しみです。