担当=牧眞司
- 2025年6月10日11:30
【今週はこれを読め! SF編】
爛熟の昭和初期に咲いた妖花たち〜会津信吾編『戦前日本モダンホラー傑作選 バビロンの吸血鬼』- 意欲的というか、いっそ酔狂なといったほうがいいかもしれない、なんともユニークな企画だ。大正末期から昭和十年代半ばまでの尖鋭・爛熟の都市文化を背景に、徒花のよう...
- 2025年6月3日11:30
【今週はこれを読め! SF編】
〈本源的形相〉の侵入で、異形化する現実〜チャールズ・ウィリアムズ『ライオンの場所』- チャールズ・ウィリアムズは、J・R・R・トールキン、C・S・ルイスが所属したオックスフォードの文芸集団インクリングズの一員だ。ただし、ウィリアムズが加入したの...
- 2025年5月27日11:30
【今週はこれを読め! SF編】
近江八幡のサイバーパンク〜天沢時生『すべての原付の光』- ゲンロンSF新人賞、創元SF短編賞を受賞した俊英の、はじめての短篇集。五作品が収録されている。 表題作「すべての原付の光」では、近江八幡市でもっとも治安が悪...
- 2025年5月20日11:20
【今週はこれを読め! SF編】
《異形コレクション》発表作を含む新しい短篇集〜上田早夕里『成層圏の墓標』- 上田早夕里といえば、SF読者には日本SF大賞を受賞した『華竜の宮』を含む、変容した未来を舞台に繰りひろげられる本格海洋SF《オーシャンクロニクル》シリーズでお...
- 2025年5月13日11:30
【今週はこれを読め! SF編】
分岐世界、戦闘ロボット、タイムトラベル......わかりやすいアイデアSFのアンソロジー〜倪雪婷編『宇宙墓碑 現代中国SFアンソロジー』- 編者の倪雪婷(ニー・シュエティン)は広州生まれ、十一歳で家族とともに英国に移住し、ロンドン大学を卒業。2008年に中国へ戻り、中国文化を世界に紹介する活動をお...
- 2025年5月6日11:30
【今週はこれを読め! SF編】
地図が秘めた秘密、地図が生む狂気〜ペン・シェパード『非在の街』- 邦題の『非在の街』は、物語の主題となる実在と架空のはざまにある街のことだ。そこには特別な方法でしか行くことはできない。そんな場所がいかなる理由で成立し、どのよ...
- 2025年4月22日11:30
【今週はこれを読め! SF編】
もうひとつの《驚異の旅》〜ペーター・マーギンター『男爵と魚』- こんな作品があったとかという驚きを味わわせてくれる好企画《オーストリア綺想小説コレクション》の第二弾である。最初の一冊、ヘルベルト・ローゼンドルファー『廃墟建...
- 2025年4月15日11:30
【今週はこれを読め! SF編】
ゲームと人間のエレジー〜赤野工作『遊戯と臨界 赤野工作ゲームSF傑作選』- ゲームおよびゲーム文化を題材にした作品が十一篇収録されている。多くは小説投稿サイト「カクヨム」に発表されたものだが、雑誌やアンソロジーが初出のものもある。書き...
- 2025年4月8日11:30
【今週はこれを読め! SF編】
アンドロイドに人間が殺せるか?〜人間六度『烙印の名はヒト』- 人間六度というのは印象的なペンネームだが、作品もそれに負けずユニークだ。第九回ハヤカワSFコンテストに投じた『スター・シェイカー』が大賞を受賞してデビュー。同...
- 2025年4月1日11:30
【今週はこれを読め! SF編】
タイムポートに併設のホテルでの事件〜ロブ・ハート『パラドクス・ホテル』- 作者ロブ・ハートは、出版社ミステリアス・プレスの編集者を経て、2013年に単行本デビュー。私立探偵アッシュ・マッケンナが活躍するシリーズなど、コンスタントに作...