ウェブで甦る、萩尾望都のSF短編小説

文=大森望

 5月24日、イースト・プレスのWeb文芸誌『マトグロッソ』(http://www.matogrosso.jp/)がamazon.co.jp上で公開された(アクセスはamazon.co.jp「文芸・評論」トップページなどに置かれたバナーから)。主な連載コンテンツは、森見登美彦『熱帯』、円城塔と長尾真(国会図書館長)との対談『未来に伝えるべき"物語"を求めて』、菊地成孔のエッセイなど。
 中でも注目は、漫画家の萩尾望都が1977年から1979年にかけて、月刊SF誌《奇想天外》に、ほぼ隔月ペースで寄稿していたSF短編群の再録企画。第一回は「音楽の在りて」(奇想天外1977年4月号初出)の前半を掲載。ちなみに、同誌初出の萩尾小説群は、短編が、「音楽の在りて」「CMをどうぞ」「マンガ原人」「守人達」「闇夜に声がする」「子供の時間」「ヘルマロッド殺し」「プロメテにて」「おもちゃ箱」「クレバス」の10本。その後、長めの中編、「美しの神の伝え」(79年3月号〜12月号、80年2月号)も発表されている。
「守人達」や「ヘルマロッド殺し」など、埋もれているのが惜しい秀作も多く、今回の復活に拍手を贈りたい。ついでに単行本化にも期待。

(大森望)

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