山本弘の怪獣SFがドラマ化

文=大森望

「本格SF+怪獣小説!」と銘打つ山本弘の長編『MM9』が毎日放送でTVドラマ化される(http://www.mbs.jp/mm9/)。題名は「MM9--MONSTER MAGNITUDE--」。全13話の総監督は、「ローレライ」「日本沈没」の樋口真嗣、脚本は「機動警察パトレイバー」や平成「ガメラ」三部作の伊藤和典という、特撮SF界の最強タッグ。各話監督は、古厩智之、及川中、登坂琢磨、田口清隆。主演は石橋杏奈と尾野真千子。毎日放送ほかで7月7日にスタートする(毎週水曜・深夜1時半)。
 原作は、雑誌〈ミステリーズ!〉連載後、東京創元社から2007年11月に刊行。「ベストSF2009」国内部門の第2位にランクインした。
 最大のポイントは、(SF的な理屈をきっちり用意したうえで)毎週新たな怪獣が日本を襲う、円谷プロ的世界観を採用したこと。世界有数の怪獣大国・日本では、気象庁特異生物対策部(略称・気特対)が怪獣出現の予報および対策立案を担当、日夜、日本の防衛に奔走する。
 題名のMMとは、怪獣の規模を示すモンスター・マグニチュードの略。いわく、「MM0は1トンの水に等しい体積の小型怪獣で、MMが1上がるごとに体積は2.5倍になる」。
「怪獣がまるで台風のように日常的に出現するとしたら、社会はそれにどう対応するか」をリアルにシミュレートし、組織のドラマをスリリングに描く。原作の基本設定はドラマ版にもそのまま引き継がれているようだ。
 なお、原作の続編となる『MM9--invasion--』は、現在、東京創元社の〈Webミステリーズ!〉で連載中(http://www.webmysteries.jp/special/yamamoto1004-1.html)。ドラマともども、今後の展開が楽しみだ。

(大森望)

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