『スターダスト』

スターダスト
  • ニール・ゲイマン(著)
  • 角川文庫
  • 税込620円
  • 2007年9月
  • ISBN-9784042971016
商品を購入する
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
  1. 君たちに明日はない
  2. 朱夏 警視庁強行犯係
  3. 銀座開化おもかげ草紙
  4. カラフル
  5. 怪魚ウモッカ格闘記
  6. 童貞小説集
  7. 終決者たち(上・下)
  8. 石のささやき
  9. スターダスト
  10. 四つの雨
鈴木直枝

評価:星2つ

 実は、壁が好きだ。見えない何かにいきなり突き落とされる穴よりかは、越えられそうもなく立ちはだかる壁のほうがいい。見えないことが苦手なせいもある。先が見えないことにどうしようもなく不安を感じる。着地点が見えないままに走り出すことに不安を感じる。本書は、「私なら絶対無理!」な真っ暗闇のトンネルを爆走するジェットコースターのような小説だ。
 「今落ちたばかりの流れ星を拾って来たらキスをして結婚してくれる!?」そんなバカな話が、物語の根幹。無茶だろう。止めとけ。胡散くさくない?見切り発車は百も承知で旅立った青年の、騙されたり優しくされたり絶望したり希望をもらったり運命を悟ったり波乱万丈の星取り旅録。途中で出会う個性ある旅の演出者たちが、これまたいい味をだしている。
 鼻っ柱の強そうな男女の表紙でわかるように劇場公開されたばかりの作品。壮大なロマンを思わせる映像と宮崎駿監督の名を用いたテレビCMも目にした。本の雑誌のサイトで書くことを憚られるが、本より映画の出来のほうが良い気がしている。名前とか敵対関係が混雑した部分があるのだ。
 ルイス・サッカーの「穴」が好きな人にお薦め。穴?壁?貴方はどっち?

▲TOPへ戻る

藤田佐緒里

評価:星3つ

 好きな女の子のために、願いが叶うという流れ星を探しに行く冒険ファンタジー。なんてロマンチックで素敵でかわいくてあたたかいのでしょう。私のために流れ星を探しに行ってくれる人なんていません。うそでもいいから「流れ星を探しに行ってくるよ!」と言ってくれる人がいたら嬉しいな。
 この作品は10月下旬からロードショーになっている映画「スターダスト」の原作です。「ロード・オブ・ザ・リング」や「ハリー・ポッター」なんかを思わせる類の作品ですが、読んで久しぶりにとっても心を楽しませてくれるファンタジーでした。魔女やら王子やら海賊やら、流れ星にたどり着くまでの間には個性豊かなキャラクターが次から次へと登場する。読んでいてどうしても映像を想像してしまう、頭の中で空想がどんどんふくらんでいってしまう楽しさでした。
 物語にはそもそもこういう楽しさがあって、自分で冒険することができてしまうんだったそういえば、と、小学校のころに夢中で読んだ「指輪物語」や「ナルニア国物語」なんかを思い出して嬉しくなりました。

▲TOPへ戻る

松岡恒太郎

評価:星2つ

 言い寄ってくる相手に無理なおねだりをするにしても「あの流れ星を取って来きて!」はチョットやり過ぎだと思います、竹取物語じゃないのだからね、お嬢さん。
しかしながら純な青年トリストランは、彼女の言葉を真に受けて壁の向こうへと旅に出る。
壁の向こう側とはつまり、妖精や魔法使いが住み、船が空を飛び木が喋る何でもありのどっぷりファンタジーの世界。
 好きな女の子の願いを叶えようと流れ星を探す旅に出る青年の物語がここに始まった。
ファンタジーの王道を行くストーリー展開は見事だけれど、いかんせん全体に詰め込み過ぎという感がいなめなく、残念なことに最後までこの物語は、僕のハートをドキドキワクワクさせてくれなかった。
「ドキドキワクワク」これはファンタジーを測るうえでの僕の大きなバロメターの一つであります。したがって合格ラインは超えてるもののこの作品、最終的に評価は「並」と言うことで、ここはひとつ。

▲TOPへ戻る

三浦英崇

評価:星3つ

 流れる星くずが、もしみんな美少女だったりした日にゃ、中学高校と天文部員だった俺の目の前を、いったい何人の美少女が通り過ぎていったことやら……なんて考えてる時点で、俺はおそらくファンタジー世界には決して住めないんだろうな、と思います。

 好きな彼女が示した結婚の条件「今流れた星を拾ってくること」を叶えるため、勇んで妖精の国へと向かった脳天気な主人公・トリストラン。幾山河越えてやっとたどり着いたら、星はツンデレ美少女で、第一印象はお互い最悪。しかし、二人で旅を続けるにつれ……ま、確かに「星を取って来い」とか命じといて自分はのほほんとしてる女より、自分と一緒に旅してくれる相手の方に心が傾くのは人情。いろいろ事件に巻き込まれたりして、絆は深まるし。

 お話自体はともかく、ええと。映画化原作ということで、表紙がカップルの実写画像なのですが……うーん。俺の中のイメージとえらい違うのが残念すぎます。うむむ。

▲TOPへ戻る

横山直子

評価:星3つ

「恋する人間はみんな頭がいかれているし、心は吟遊詩人です」
17歳の少年・トリストランは堂々と言った。
その純真さがなんともまぶしい。
なんとこの彼、大好きな片思いの少女から「流れ星を拾ってきてくれない?」と言われて、その気になり、流れ星を見つける旅に出かけてしまうのだ。

出かけた先は妖精の世界、そして彼を待ち受けるのは相続争いをする七人の王子やちびもじゃ男、不気味な魔女…。
冒険に次ぐ冒険の末、少年の捜し求めていた流れ星を見つけるものの、その星の正体はなんと…、とうてい予想すらできないかわいらしい存在であった。
「自分がここまで旅を進めてこれたのは、さしのべられた手に助けられてきたからだ」と旅の途中で気づくトリストラン。読みながら、彼の株が一気に上がる。
少年は旅をしながら着実に大人へと成長していくのだ。

映画化され、その写真が表紙を飾っている。
スケールの大きな冒険ファンタジーだから、期待も大きい。

▲TOPへ戻る

<<課題図書一覧>>