『ウチら棺桶まで永遠のランウェイ』kemio

●今回の書評担当者●明林堂書店ゆめタウン大竹店 船川梨花

  • ウチら棺桶まで永遠のランウェイ (角川文庫)
  • 『ウチら棺桶まで永遠のランウェイ (角川文庫)』
    kemio
    KADOKAWA
    792円(税込)
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時期外れのエイプリルフール疑惑から始まった横丁カフェでの本の紹介も今回が最後となります。私の人生において最も色濃く充実した1年であり、「本が大好きだ!」と再認識できた1年でした。貴重な体験の機会をいただいて本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
1年間、ありがとうございました。

最後に私が紹介させていただくのは、kemioさん著『ウチら棺桶まで永遠のランウェイ』。
動画配信などのクリエーター、モデルに歌手にとマルチに活躍されているkemioさんによる元気爆上げしてくれる生き方エッセイである。
Kemioさんの飾らない言葉は弾丸のようにストレートに胸に響き、時にドキリとさせられる。あぁ、私って確かにそんな小さいことでクヨクヨしてたかもって。
特に「人なんて悩みごと工場だし、自分の力でさばいてかないと出荷が間に合わないよ」
この言葉には本当に救われたし人生において大切なお守りにしたい言葉だ。

多様性、という言葉をここ数年でよく聞いたり目にしたりするようになったけど、正直『多様性』という言葉が呪縛のようになっていることもあると思う。私は私、あなたはあなた。なんて言いながらも自分以外の誰かと比べたり比べられたりと、心が疲れてしまうことがあると思う。特に今は様々な分野で自分自身を発信できる世の中で誰もが何者にもなれるからこそ尚更疲れてしまいがちではないだろうか。
新年度、新しい環境で新生活をスタートして自分ペースを掴むのが難しくてつい周りを見渡して焦ってしまう人もいると思う。やる気が空回りしたり、自分自身の環境にため息をつきたくなる時もあると思う。
そんな人にこそ、この1冊を手に取ってもらいたい。
きっと読めば今よりも自分自身を大切にしようと思えるから。
自分を一番甘やかして一番大切にしてあげられる才能があるのは自分自身なのだから。

私自身もこれから新しい環境に身を置くので、正直不安がないと言えば嘘になってしまうが、それ以上にわくわくして仕方ない。これからの人生をどうカスタマイズしていこうか考えると楽しみがいっぱいで、前よりも自分のことが少しだけ好きになれている。
今作でのkemioさんも言っているが「自分のことを自分がいちばん信じてあげて、しっくりこない常識には中指立てて、棺桶までのランウェイをみんなで最高の戦いにしていこ!」。
これからの人生というランウェイを猫背でもじもじ歩かず、背筋をピッと伸ばして堂々と自分らしく歩いて行けたら最高にハッピーなことこの上ない。
人生まだまだこれから、お互い自分のペースで自分なりに楽しんでいこう。
この1冊も誰かの勇気や元気が湧くきっかけになってくれるだろう。
あぁ、やっぱり本って最高ですね。

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明林堂書店ゆめタウン大竹店 船川梨花
明林堂書店ゆめタウン大竹店 船川梨花
山口県岩国市育ち。13日の金曜日生まれの宿命かホラー好き、読むのはお昼派。ジャンル問わず気になった作品は何でも読みたい欲張り体質。本を読む時に相関図を書くのが密かなマイブーム。