『お咒い日和』加門七海

●今回の書評担当者●ゲオフレスポ八潮店 星由妃

  • お咒い日和 その解説と実際 (角川文庫)
  • 『お咒い日和 その解説と実際 (角川文庫)』
    加門 七海
    KADOKAWA
    704円(税込)
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 私が本書を購入した2017年は黒い表紙に藁人形が描かれていました。
 2020年7月に文庫化された時には別な表紙になっており帯には「あっかんべーは魔除けのサイン!?」と全く違う本が発売されたと思ったほどでした。

 加門七海さんと言えば ホラー小説や怪談実話、オカルト系ノンフィクションを多く出版されているため、この本も怖い本だと感じるでしょうが決して怖くはありません。教科書のような本です。

「呪い」を想像するでしょうがタイトルは「お咒い(オマジナイ)」です。

 小さい時、よく金縛りにあっていた私。
 視えなくていいものが視えたり感じたりした時期があった。
 現在は金縛りはなくなりましたが誰かに呪いをかけられているのではないかな?と思うほど悪いことばかりが続き、とにかく何かにすがりたい時期があった。今でも定期的に占いをしたり数々のオマジナイをして気持ちを落ち着かせている時があります。

 書店には8月中旬から次の年の占い関連本も多く入荷しますので来年の占い本を手に取る前に少し勉強してみましょう。

 日本には古くから色々な災いを防ぐためにオマジナイがあるのですが気付いていないだけで普段からみなさんはオマジナイをしているのです。

 そんなオマジナイを詳しく本書では説明していきます。

第一章お咒い日和
 日常的な行為も、実はお咒いと密接に関わっている。言葉の持つ力、何気ない所作に宿る呪術的なエネルギー、現代では娯楽として扱われている音楽も、かつてはマジカルな存在だった。それらひとつひとつを繙く。例)病気回復を願う千羽鶴など。テーマごとに古くからのオマジナイを解説している。

第二章古来のお咒い
 信仰、禁忌、験担ぎ――。伝統的な職業・産業の世界には、今もお咒いが残っている。古の昔から今に至るまで、各所に根づいたその知られざる実態を、多くの文献とフィールドワークから明らかにする。古来から存在する職能にまつわるオマジナイの取材をしていく。例)かごめかごめなど小さい時に遊んだ遊びなどを解説している。

第三章お咒いと占い
 マジナイ、あるいはノロイは、願望成就を目的に行う行為だ。ではその願いが果たして叶うかどうかを知るためには――。その方法が占いです。例)みんなが大好きな占いやマジナイについて解説している。

 文庫化した際のあとがきは2020年5月、緊急事態が解除された時期のため、新型コロナウィルスについて触れておりアマビエなどについても語られている。

 世の中は新型コロナで経験したことがない事態が起き、未だに終息していない。

 新型コロナによって推奨されている手洗いとうがいは社守の手水と同じでありご本尊や御神体とは距離を取ってお参りしている。尊いものを清浄に保つための手段を昔からしていたのだ。除菌や禊はお祓いに通じる。家に籠るのは物忌の一種だ。

 どんな事をすれば悪霊を封じ込めるのか? 先祖代々から続くオマジナイで悪霊退散して欲しい気持ちを込めてこの本をおすすめしたい。

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ゲオフレスポ八潮店 星由妃
ゲオフレスポ八潮店 星由妃
岩手県花巻市出身。課題図書は全て「宮沢賢治作品」という宮沢賢治をこよなく愛する花巻市で育ったため私の読書人生は宮沢賢治作品から始まりました。小学校では毎朝、〔雨ニモマケズ〕を朗読をする時間があり大人になった今でも読んでいて素敵な文章があると発声訓練のごとく、つい声を出して読んでいる変な書店員です。