『21世紀のチェーンストア』渥美俊一
●今回の書評担当者●ゲオフレスポ八潮店 星由妃
私の趣味は【書店巡り】です。
個人書店もあればチェーン店の書店も数多く巡っています。私自身、本が好きということもありますがチェーン店でも立地によって様々な棚の構成があり面白いです。
今月は書店巡りをして思った事、感じたことを思い出しながら2008年11月発売された本を再読しました。
本書はチェーンストア理論の第一人者である渥美俊一さんのチェーンストアの基本理論について書かれています。今でも様々な講習会に使用されている本ですのでチェーンストアに興味のある方には教科書だと思って読んで欲しいです。
コロナ禍の前から人手不足で店が開けられない、また出来るスタッフがいなく早仕舞いしなければならないというニュースをよく耳にしました。
まだまだガンバリズムの精神の店長さんやスタッフさんなどに甘えている時代が続いているのが現状ですが一人が抜けても普段通りに店舗が効率よく仕事が出来るようにするには普段からの管理体制をしっかり行うことが大切です。
その管理体制が出来てからこそお客様が満足する、より良い店づくりだと言えます。
昨今、セルフレジも導入され始め、いかに人件費をかけずに店を回せるかが問われる時代になってきています。レジ業務の回転率を高め、顧客満足度の向上とともに人件費の圧縮を実現することが目的です。
またチェーンの数が多くても、まとまりのない店ばかりでは力にはならず衰退していくばかりです。
衰退させない為にはチェーンでの「キマリ」を作り個店独自ではなくチェーン店として生き残れる方法を考えていかなければならず、その「キマリ」を守らせてこそ始めてチェーン店が成り立ち、運営が出来、給料がいただけるという事を働いているスタッフさん達にもしっかりと学んでもらう事です。
チェーンストアの最大の特徴として挙げられる事は標準化された「キマリ」があること。
またその「キマリ」を完全実行出来るスタッフを教育していく事です。
「本部」は店舗が完全に実行出来るマニュアルを作成して「店舗」はよく理解し実行する。
文章にすれば簡単ですが実際にお客様を相手にするとマニュアル通りにはいかないものです。
実際にマニュアルには載っていないお客様対応も多く簡単ではないルーチン業務を日々、実行していく事でお客様にとって、より良い店、ひいてはより良いチェーンストアづくりが出来ると言えます。
その為には常に観る目を養い、観察、分析、行動に移す事が挙げられます。
本書を読んで、ただ書店巡りするのではなく良い点、悪い点をしっかりと見極める「観る目」を養いたいと考えさせられました。
普段なかなか手にしないビジネス書をゆっくり、じっくり読んでみませんか?
- 『波の上のキネマ』増山実 (2021年11月11日更新)
- 『夫の墓には入りません』垣谷美雨 (2021年10月14日更新)
- 『私を殺さないで』浜口倫太郎 (2021年9月9日更新)
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- ゲオフレスポ八潮店 星由妃
- 岩手県花巻市出身。課題図書は全て「宮沢賢治作品」という宮沢賢治をこよなく愛する花巻市で育ったため私の読書人生は宮沢賢治作品から始まりました。小学校では毎朝、〔雨ニモマケズ〕を朗読をする時間があり大人になった今でも読んでいて素敵な文章があると発声訓練のごとく、つい声を出して読んでいる変な書店員です。