『MOGUMOGU食べ歩きくま』ナガノ

●今回の書評担当者●ゲオフレスポ八潮店 星由妃

 終息しかけてきていると思っていた憎たらしいウィルスがまた増えてきた。

 待ちに待った旅行を計画していた矢先だったので「何で......また......」という思いをこめながら2月分としておススメするのは講談社コミック ナガノさんの『MOGUMOGU食べ歩きくま』です。著者はアニメ化も始まった『ちいかわ』の方です。

 2021年8月に発売された3巻の帯に「舞台は静岡、新潟、福岡の名物に東京散策、おうちごはん!すぐそばにある『しあわせ』をくまと味わう旅に出よう!」とあった。おいしい! 楽しい! がいっぱい詰まったコミックです。

 オールカラーのイラストエッセイのために文章が本当に少なく簡単に読み終えることが出来る。
 何度も何度も「わかる!、わかる!」とうなずいて読んだ。

 例えば、たこ焼きを食べているところの描写では「はぎ......はぎ......はぎ......」熱さに悶えながら食べる様子。
「まぐまぐ......美味い!」と主人公のくまが美味しい食べ物を食べた時に人間が当たり前のようにしている様は読んでいるこちらも食べた時に感じた熱くてはぐはぐ、フーフーしたした事を思い出す。

『お風呂で一杯!新潟へ』では「お風呂で一杯!」が実際に出来る越後長野温泉「嵐渓荘」について描かれている。

 たしかに、私もあちこちに旅行した経験はあるが一度も「お風呂で一杯!」は見たこともやったこともない。

 透き通った日本酒の味、ちょうど良いお湯の温度。体内に水分が流れて体と温泉が融合していく感覚を作中の主人公くまの溶けた感じがたまらない。

 そして私が行った事がない福岡! 行ったら食べてみたいラーメンとモツ鍋! 写真ではなく絵だからこその私の妄想を掻き立ててくれた。なるほど、なるほど......「元祖長浜屋」には独自の注文方法があるのか。福岡に行く時の為に参考になった。

 静岡編では私も行ったことはあるが未だに経験した事がない「そば打ち」について書いてあった。今度、行った時には是非やってみたいなぁと思わせてくれた。

 例のウイルスのせいで旅行に行けなくなり東京散策やおうちごはんについても描かれているがラストには読書の皆さんが楽しい食べ歩きができるように最大級のパワーを送って『おしまい』で終わらせている。

 思う存分に各地を食べ歩きしたいと思わせてくれたコミックです。

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ゲオフレスポ八潮店 星由妃
ゲオフレスポ八潮店 星由妃
岩手県花巻市出身。課題図書は全て「宮沢賢治作品」という宮沢賢治をこよなく愛する花巻市で育ったため私の読書人生は宮沢賢治作品から始まりました。小学校では毎朝、〔雨ニモマケズ〕を朗読をする時間があり大人になった今でも読んでいて素敵な文章があると発声訓練のごとく、つい声を出して読んでいる変な書店員です。