『古本屋台』Q.B.B. 作・久住昌之、画・久住卓也

●今回の書評担当者●丸善博多店 脊戸真由美

  • 古本屋台 (書籍扱いコミック)
  • 『古本屋台 (書籍扱いコミック)』
    Q.B.B.,久住 昌之,久住 卓也
    集英社
    1,320円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto

ーーーーーーーーーー
ばんわー
らっしゃい、飲むの?(もう注いでる)
ーーーーーーーーーー

 酔っ払い、野暮な客はお断り。夜ふけになるとどこからともなく現れる幻のような古本屋台。白波お湯割り100円。おひとり様一杯限り「ウチは飲み屋じゃないんだから」珍本希本あり〼

 朝は、屋台の撤収跡を通って職場へ。時には、道ばたに椎茸がころりとひとつ忘れ物。アウトドア文化な土地柄です。夏は蚊と闘い、冬は寒さをたのしむためにアルコール度数を上げる。屋台は野遊び。暗闇に目をこらしながら、さびれた公衆トイレまで用を足しに行くのもオツなもの。

ーーーーーーーーーー
一杯しか許されない白波のロックを
大事にテイネイにゆっくり飲む
目の前には古本の宝の山
ーーーーーーーーーー

「ブレイディみかこトークショー」に行ったときのこと。済ませておこうと駅のトイレに向った。ブレイディさんぽい人が個室に入った。あまりにも無頓着な格好だったので、似た近所の人?と手前の個室へ。座った目線には張り紙。「汚物入れの後ろに大便を置かないでください」すごいところに来てしまった。トークショーが始まり、さっきの人がそのままで座っていた。本人だった。翌日、ウチの店にサイン本作りに来られたのでその話をした。「連れションしちゃったね」ブレイディさんは言った。なんという誉れ!マイ年表を作るなら真っ先に記す「20XX年ブレイディみかこと連れション」

ーーーーーーーーーー
えー?
聞いてりゃいつまでもウンチの話ばっかりして
ウチは便所じゃないんだから
ーーーーーーーーーー

 おやっさんに叱られたい。月見に雪見に花見。たまにすげなくされながら、虫の音を聞く。蚊取り線香の煙をたどる。あの灯りの下で。

 福岡の一代限りルールが緩和され、コーヒー屋台や、クラフトコーラという新星があらわれた。しかも、建物?がグッドデザイン賞。いまや、お目当ては豚骨ラーメンだけではない。

 主人公が深夜、ポツリとつぶやく。
「俺が、継ぐか」

ーーーーーーーーーー
Q、B、B (90人の・ババァによる・ババァのための本屋)
ーーーーーーーーーー

 そうよ、ババァがやってもいいんじゃないの。屋台、電動アシスト付きになったし。

「ブックオカ」という本のお祭りが秋にある。コロナで時間がなにかと余り、増えた本の処分に困った。古本市で買ってる場合じゃない。はじめて売り手をやってみた。「古本屋台」の屋号で。去年とおととし、すでに前科二犯でございます。一日限りのごっこ。しろうとのお遊びですので、どうかお目溢しを。まもなくその季節。昔の名前で出ています。

« 前のページ | 次のページ »

丸善博多店 脊戸真由美
丸善博多店 脊戸真由美
この博多の片隅に。文庫・新書売り場を耕し続けてウン十年。「ザ・本屋のオバチャーン」ストロングスタイル。最近の出来事は、店がオープン以来初の大リニューアル。そんな時に山で滑って足首骨折。一カ月後復帰したら、店内全部のレイアウトが変わっていて、異世界に転生した気持ちがわかったこと。休日は、コミさん(田中小実昌)のように、行き先を決めずにバスに乗り山か海へ。(福岡はすこし乗るとどちらかに着くのです)小銭レベルの冒険家。