2月28日(水)
横浜を営業。Y書店のMさんと話をしていたら、どうも目の上が青い。まるで誰かに殴られたような痣ができている。しかしこういうことは「どうしたんですか?」と聞きづらい。何か個人的なことだったら言いたくないこともあるかもしれない。それにしても心配だと思っていたら、Mさんから事情を説明してくれた。
なんと駅の階段を歩いているときに、突然急ぎ足のおっさんに突き飛ばされ、よろめきつつ手すりにつかまろうとしたらしい。ところがうまくつかめず、頭を強打してしまったそうだ。うーん聞いているだけで、痛さが伝わってくる話だ。
おまけにそのおっさんは謝ることもなく、どこか雑踏へ消えてしまったとのことで、まだ、頭にたんこぶが出来た程度だったから不幸中の幸い、とは言え、はずみが違ければもっと大事になったのではないか。酷い人がいるし、怖いことがあるなあと重たい気持ちになってしまった。
しかし、Mさんはどんなときでも明るい話にしてくれ「杉江さん、わたし面白いことを知ったんですよ。たんこぶもかさぶたみたいに、治りかけは痒いんですよ。」と笑顔で教えてくれた。Mさんのその笑顔に救われる思いだった。
その後、M書店のYさんを訪問するといきなり「杉江さん、ちょうど今日、出ましたよ!」と1冊の本を手渡される。何だ?何だ?とあわてて手に取ると、なんと『本の雑誌』3月号で紹介した書店員ホモ小説『キスよりもその口唇で』花川戸菖蒲著(二見シャレード文庫)の続編『一緒にいたねをたくさん』ではないか!
今回は青山君と望君が同居し、いつでも一緒の生活。残業のときは、望くんが事前に作っておいてくれた栄養バランス満点のご飯を食べ、一段と愛を育んでいるらしい。おまけにこのふたり、大手書店の派閥抗争に巻き込まれ、移動や転勤の話が…。いやー出るとは聞いていたけど、もう出たのかと早速購入。今日はYさんがレジに立ってくれたので堂々の購入。これなら恥ずかしくない。
Yさんがその表紙を指さしながら言った「杉江さん、この人に似ているよね。」の一言が気にかかる。少女漫画風2枚目青年に似ているなんてうれしいけれど、それはきっと主人公の青山くんで、いわるゆホモなのだ…。うーん、喜んでいいのやら、悲しんでいいのやら。
帰り際そんなYさんと今度は『誕生日事典』(角川書店)の話をしていたら、僕の誕生日のページを開き、目の前で分析される。僕の誕生日の項目には「夢がない」と書かれていて、
「当たってないねぇ、杉江さんいっぱい夢ありそうだよね。」と言われる。
「いやいや、そんなことないんですよ、これでも結構現実派なんですよ。」と中田ヒデのようにクールな人間として印象づけようとした。しかしYさんのとどめの一発!
「何言っているのぉ!夢がなくて、浦和レッズは応援できないでしょう。」
ああ、その通りだ……。
その後は、Y書店、E書店と営業し、あっという間に街は夜。これだけ読むとまるで遊んでいるように思われるかもしれないが、一応こんな会話の間に新刊の売行や注文など仕事をしているのだ…。浜本さん、そんな不安そうな顔をしないで下さいよ。