4月27日(火)
とある書店で、「GWの給料日明けで売り上げは、どうですか?」と何気なく質問したら「いつもの2倍で、人員も増員しているの」と一瞬耳を疑い、そのまま腰が抜けてしまいそうになることを言われる。
ついに出版不況脱出なのか…と思って小躍りしそうになったが、話を聞くとしっかり種も仕掛けもあって、実はその種と仕掛けに再度ビックリ。
このお店はあるショッピングセンターに入っている書店さんで、このGW期間に限り、ショッピングセンターのポイントカードが2倍つくキャンペーンを行なっているそうなのだ。その期間になったらいきなり本が売れ出して、バブルの頃のような勢いで、お客さんが山のように本や雑誌を抱えてレジにやってくるという。
この期間中、通常100円の購入で1ポイントが倍の2ポイントになるらしい。そしてこのポイントがある数まで溜まると商品券がもらえる仕組みとのこと。
再版制度がもっと強固に運用されていた頃は、このようなポイント制に対してかなり風当たりが強いこともあって、ショッピングセンターやデパートのなかの書店さんでも、ポイント制から外れることが多かった。しかし、ここ数年の出版不況と、つい最近出た公正取引委員会から「もっともっと消費者のサービスを尊重し、ポイント制度や時限再版本の活用をしなさい」的なコメントが出たため、導入する書店さんが増えつつあるようだ。
それにしても…。
こんなことで本が売れ出してしまうなんて、ちょっと僕には想像つかないことだった。なぜ、いつも買わないのに、たかだかポイントが2倍になる程度で、一斉にサイフのひもが緩くなってしまうのだろうか。特典の商品券の割合というのも、僕が見た限り、それほどおいしい割合でもなかったから、なおさら不思議だ。
そのことを次に訪問した書店さんで話すと、「杉江くん、今はほんとにシビアなのよ、特に女性はそういうことに敏感なの。スーパーやドラッグストアの特売と一緒で、少しでも得する方に動く傾向がものすごく強くなってるのよ」と言われる。そうか…、そんなものなのか…とひとり感心していると
「あのさ、杉江くんひとつ勘違いしていると思うんだけど…」
「えっ、何ですか?」
「そのお店が2倍売れているっていうのはね、お客さんの購買力が上がったってわけじゃなくて、いつも他の書店で買っていたものを、そこで買っているって可能性が高いのよ。全体的な書店の売り上げとしては、あんまり変ってないの。だからね、うちはここ数日、落ちてるの…」
うーん、商売というのは難しい。