3月1日(木)
久しぶりの雨。
この日誌を書き出してから、良く聞かれることは
「毎日外に出て、書店さんを廻っているんですか?」ということ。
僕の答えは
「はい、毎日書店さんを廻ってます。」
すると大体ビックリされる。
雨の日も風の日も雪の日も、営業マンは外に行かなきゃ仕事にならないので、会社を飛び出さざるえない。僕が本の雑誌社に入社してから約3年半。一日中外に出ず、社内に籠もっていたことは1日だけと記憶する。それは確か身体の具合がよほど悪かったときか、デスクワークが溜まってしまったときだった。
決まってその質問のあとは
「大変ですねぇ。」という言葉が続く。
でも毎日外に出ている身としては、その逆に「よく会社に一日いられるなあ。」と感じてしまうのだ。僕も最初はつらかったけど、やっぱり人間は何でも慣れるもんなのだ。
さて、今日も雨の中、傘をさして営業に出かける。チビには大きい傘が似合わない。商店街のウィンドゥに映る自分を見ると、ひとりだけビーチパラソルをさしているようだ…。まあ仕方ない。
調布のP書店さんを訪問すると、Sさんが
「杉江さん、僕、異動になっちゃった。今度は名古屋支店なんですよー。」
思わず唖然。
春は気候としては徐々に暖かくなり過ごしやすくなるから好きだけど、季節としては別れが多いから嫌い。せっかく仲良くなれた書店さんと別れなきゃいけないこともあるし、我が社の助っ人卒業生ともお別れしなきゃならない。ああ、春なんて大嫌いだ!
出会いと別れなんて簡単に言うけれど、気持ちはそんなすぐ割り切れるもんじゃない。しばらくの間ぽっかり心に穴が空いてしまって、そのお店を訪問する度に思い出に浸ってしまうのだ。何気ない会話、何気ない仕草、そんなことをひとつひとつ思い浮かべ思わずぼんやり。今日も何だか淋しくてやりきれない気持ちになってしまった。Sさんには「いつか名古屋へ行きます。そのときは手羽先と味噌カツと味噌煮込みを食いましょう。」と約束し、深々と頭を下げて「今までありがとうございました」と感謝を伝える。下を向いたら思わず涙がこぼれそうになってしまった。
その後、府中のK書店に行き、ここも先月限りでAさんが異動になってしまったお店。ただ、こちらは新宿店への異動だったから良かったけれど。
さて、新担当者の方がどんな方なのかと緊張しつつ名刺交換。そのHさんと話をしてみるとものすごい本好きだったので一安心。いや一安心どころか妙に話があってしまい思わず長話。
ああ、このようにして、また新たな出会いが生まれることに感謝。
しかしまたいつか別れが来るのか…、と思うとやりきれない。
「出会いと別れ」。いつか慣れるときが来るのか…と思っていたけれど、さすがにこればっかりは慣れそうにない。いや、こんなことが「慣れ」になってしまったら、僕は営業をやめるだろう。
なぜなら人として最低じゃないか!