WEB本の雑誌

4月24日(火)

 発行人の浜本と顔を合わせたら、いきなり「ねえねえ、米びついらない?」と聞いてくる。自宅の模様替えをしたところ不要になったとのことで、どうも捨てるのはもったいないと感じているようだ。
 しかし、僕の家には、すでにあるので断ると、
「でもね、電子レンジも乗るし、炊飯器も乗るし、すごく便利なんだよ」と妙にしつこい。僕の家にあるのも同じようなラック型なので再度断ると、今度は引越し間近の松村に寄っていく。何だか僕もその米びつの行方が気になり、一緒に松村のところについていく。

「ねえねえ、米びついらない、電子レンジも炊飯器も乗るんだよ」と浜本。
「いりません。今度の部屋も狭いんです、キッチンにそんなもの置けません」ときっぱり松村。
「でもね、一人暮らしでも米は、ちゃんと米びつにしまわないとダメだよ、夏は米びつ先生を入れて虫除けしてね。それに、この米びつには、1・2・3ってボタンがあって、それを押すとその分量だけお米が出るんだよ。何で、1・2・3だかわかる?この組み合わせですべて出来るからだよ。」と突然米びつ営業マン化した僕。
「いりませんたらいりません!」と忙しそうな松村がぶちギレ、僕と浜本はうな垂れつつ、松村から遠ざかる。

 近くを通ったパートの石山が「何を話しているんですか?」と聞いてきたので、またもや米びつの押売りをふたりで始める。
 すると、何と石山家には米びつがなく、前から欲しかったと言うではないか!ついにあわれな米びつの貰い手が決まり、僕と浜本はホッと胸をなで下ろす。良かった、良かった。