WEB本の雑誌

7月2日(月)

 ついに家のパソコンまで崩壊してしまい日記の書けない日々が続いた。それにしても原稿をアップしようがしまいが、反応はまったく皆無に等しい。なぜか事務の浜田だけが「まだですか?」と言ってくる。目の前で僕の行動を見ているのに不思議なもんだ。とにかく予想していたことはいえ、読んでいる人がほとんどいないものを書くというのは、かなり虚しい作業の気がしてくる。

 このまま辞めてしまおうかと思ったけれど、発行人浜本は許してくれない。しかし、かといって新しいパソコンを買ってくれる気配もなく、困っていたところ、編集部の金子がG4を購入し、今まで使っていた古いパソコンを僕の机にセッティングしてくれるではないか。金子は優しい。

 さて、久々の日誌。
 
 中央線のとある町の書店さんを訪問した際の店長さんの言葉。
「数年前までうちなんかの小さい店で年間100冊以上売れる本なんてなかったんだ。もちろん注文しても入らないから売り逃しがあってのことなんだけれど、いくらベストセラーと言っても80冊くらいが限界だったんだよ。
でも、ここ数年、年間で100冊、200冊売れる本があるんだよね。本が入らないのは変っていないんだけれど、『チーズ~』もそうだし『地図を読めない女~』もそうだし、もちろん『ハリーポッター』もそうなんだ。他にも結構あるんだよね。
でね、それなら売上げが上がっていると思うでしょう。でも下がっているんだよなあ。全体的には完全に下がっていて、それはなぜかというと棚で年間何回点か確実に売れていたものや、平台で5冊くらい売れていたものが全然売れなくなっちゃったんだよね。今のこの状況でそっちも売れていたら前年比なんて恐くないのに。」

 この状況は、他の書店さんでもよく聞く話で、今の出版業界は、売れるものはとことん売れる、しかし売れないものはほとんど売れない…といった感じなのである。そしていわゆる既刊書や棚に入ったものはもっと売れないと言われている。文庫になるスピード、新古書店の台頭、活字離れ、いろんなことが理由にあげられているけれど、まあ、複合的な問題なのでしょう。そのせいか、とにかくお客さんの目に付くようにと、ここ最近棚改装した書店さんはやたらに面陳が多くなっていたりする。

 ひとつの本に群がる読者というのは、基本的に日頃本屋さんに来ていない人が多いのではないか。話題になったからちょっと読んでみようと本屋さんに足を運んでいるような気がする。そういう人が増えるものはもちろん業界として万々歳で、そのなかの数%でもその後、本を読む習慣がつけば長い読者になってくれるだろう。

 しかし、今、一番売れなくなっていると言われる棚の読者というものは、日頃から本を読む習慣を持っていた人達のはずなのだ。1冊の本から派生していく興味の対象に従って、ゆっくり棚からめぼしい本を探して行ってくれていた大切なお客さん達だったのだ。しかし、それが減っているということは…。

 いったいこの人達はどこへ行ってしまったのか。

 書店さんは売上げの効率を良くするために平積や面陳を増やし、棚差の本を減らしていく傾向にある。そして出版社もインパクト勝負で、短期間で売り切れる本を作り続ける。この状況を見ていると、これからもより一層、一点売上げ主義が進んでいくような気がしてならない。出版社のバクチ化に拍車がかかり、そして、棚から本を買う読者は一段と減っていくのだろう。
 ああ、これでいいのかなあ・・・・・・。