7月3日(火)
会社の窓から外を眺めると、茹ったラーメンのように街がもやもやしている。この暑さのなか営業にでかけるのはかなり勇気のいること。編集部と事務員が羨ましくて仕方ない。噂によると夏の営業マンはやたらに仕事をする…というか、書店滞在時間が長いらしい。身体が冷えるまでとにかく書店にいるという。そういう僕は、あまり長居できる状況ではないので、書店さんを訪問するとなるべく冷房の吹き出し口に近づき、名づけて「休息冷蔵」の技を使うようにしている。
本日は池袋にちょこっと寄りながら、その後、千葉方面を営業。綾瀬、松戸、新松戸、柏。
柏のS書店Mさんと今月12日発売の『ハリーポッター』3巻の予約状況の話。いやはやこんなことが出版業界にあるのかと思うほどの盛況ぶりに驚く。
僕が聞いた書店さんのなかでは、すでに200冊以上予約を取っているお店が何件かあって、いまどき人気アイドルの写真集でもこんなことのない時代、『ハリーポッター』の魔力はとんでもないことなのだ。新聞の社会面には驚きの初版部数と紹介され、なんとその数100万部だというではないか!うーん、なんだかすごいとしか言いようがない。
もしこんな本を本の雑誌社で出版してしまったら、営業の僕はどんなことになるのだろうか。電話回線はパンクし、FAXは延々注文書を吐き出し続け、そして僕はその応対に一日明け暮れる。きっと家には帰れなくなるだろうし、サッカーだって見られない。夢見つつも、ちょっと恐ろしすぎて考えたくない話。というか考えるだけ無駄な話か…。うん?何だか前にこんなことを書いたような気がするなあ。
千葉の営業を終えたらかなりの時間になってしまい、ここから会社に戻るよりも直帰してもう何件か廻ろうと考え、その旨を電話で伝える。
すると電話に出た事務の浜田が
「杉江さんは千葉から直帰ですけれど、何かありますか?」と他の社員に伝達事項を確認してくれる。しかし、その奥から、聞こえてきた浜本の声は
「なんだアイツ!今日は千葉からサッカー場か?」
サッカーもなく真面目に働いているというのに、こういう疑いをかけられるのは甚だ心外だ。公衆電話の受話器を叩きつけながらイラついてみたが、よくよく考えてみると、それもこれも僕の日頃の生活のせいなのだ。事実、直帰=サッカーで半分近くは当たっている…。まあ、仕方ないか。