7月6日(金)
立川の駅ビルO書店を訪問したら、前文芸担当のSさんと久しぶりに対面。今は文庫担当なので「夏は各社の文庫100フェアがあって大変ですね」と声をかけると、なんと今月いっぱいで退職するというではないか。担当が替わって、直接仕事をする機会はなくなていたとはいえ、訪問する度にもしかしたら会えるかなと期待していただけに残念でならない。いつものことだけれど、心の深い部分をぎゅっと握り締められるような感情にとらわれる。
しばらくそのSさんと話していると、結婚退職というおめでたい話だったので、まあ良かったのか。このまま社員として、あるいはパートのような形で仕事をしていくことも真剣に考えたようで、でも、とにかくここは一度すっきり退職し、新たな生活に向う決断を下したという。それはそれでカッコイイと思った。
これだけ数多く、女性書店員さんが辞めていく現場に遭遇していると、世間では、男女平等とはうたっているものの、やっぱり女性が仕事を続けていくのには、たくさんのハードルがあることに気づく。特に書店などの接客業は、早番・遅番などの勤務体制になっているため、遅番の場合は、家に着くのが11時、12時が当たり前の仕事。いくら家庭で理解してもらっていたとしても、「家事をしていない」というのは、それだけで女性にとってかなりのプレッシャーになるようだ。
それ以外でも、これはある女性書店員さんに聞いた話だけれど、結婚を機に社員からパートという形でしばらく仕事を続けてみたけれど、それは今までの上司が逆に部下になるわけで、周りがやりにくそうなので、結局辞めることにしたという。確かにどちらの立場になっても、少しやりずらいのはわかる気がする。
男女論などというのは、大げさ過ぎて、僕にはよくわからないけれど、「両立」という言葉が女性にしか使われないところを考えてみても、やっぱり女性の方が損をしているというか、生きにくいのは確かなことなんだろう。例えば男が家事を分担してやっているとしてもそれは「手伝う」という言葉でしか表現されないような気がするし、僕の場合の「両立」という言葉は、レッズと仕事でしか考えたことがないアホさ加減なのだから…。
何だかこうやって考えているうちに女性に対して申し訳ない気持ちでいっぱいになっていく。
出版業界は、あるいは書店業界は、特に多くの女性によって成り立っている業界だと思う。書店の現場では女性が力こぶを作って、重たい荷物を運んでいる場面に遭遇するのは日常茶飯事だし、そもそも女性の方が圧倒的に数多い職場だ。もちろん能力として男と差があるわけではもちろんない。
また、出版社にしても、我が社から発売している『編集稼業の女たち』を読めばわかるとおり、女性が一線で働き、そしてエネルギッシュに仕事をこなしているのがわかる。今は書店営業も女性の方が元気だ。
何だかもう少し、女性が働きやすい環境になればいいな…と中央線に揺られながら考えていた。はたしてそのためにどのような方法があるのか、すぐには思いつかないけれど、いくらかでも女性が働きやすくなれば、優秀な方々が今以上にこの業界に多く残り、よりよい状況になっていくんじゃないか。
それといつか、Sさんがまた仕事をする機会に巡り合い、そのときこの業界に戻ってきてくれたら、うれしい限り。是非また一緒に仕事をしたい、そしてお会いしたいと思った。
Sさん、いろいろとお世話になりました。これからいろんなことがあるでしょうが、楽しい生活を送って下さい!