7月26日(木)
直行で王子の取次店N社に向かう。「情報制度向上説明会」に参加するため。何だか説明会のタイトルはムズカシそうだけれど、ようは、流通情報(増刷や絶版など)をもっとしっかり連絡するように…というお話。その通りだと思わず頷く。
只今このN社が進めているPC-NOCS2というシステムは、書店さんのコンピュータ上で、本の検索・発注・出荷情報がわかる優れもの。今までだったら、書店さんがお客さんから注文を受けたときに「10日から2週間」などと大まかな入荷日を伝えることしかできなったけれど、このシステムを導入すれば、○日にお店に届きますとハッキリ言えるのだ。この業界も遅ればせながら、流通のスピードアップに取り組んでいるのである。
とても良いシステムに思えるこのPC-NOCS2。しかし導入している書店さんでその使い勝手を質問すると、あまりよろしくない評判を耳にする。システム導入の金額はとりあえず置いておいて、とにかくその情報の信用度が低いのだ。
「なんかね、ここに在庫アリって出ていて注文するでしょう。でも全然入ってこないのよ。そんでしばらくしてから、品切れでしたって連絡があるの。お客さんに『大丈夫です』と言っちゃってる手前、すごく困るのよね。だから到着日は言わないようにしているの。」
せっかく素晴らしいシステムなのに無用の長物になってしまっているのが現状だ。
では、何が悪いのか。これはもう完全に我々出版社が悪いのだ。書籍の「品切」や「増刷」の情報を今はメールで送ることになっているのに、そのメールを送らない。送らない、いや送れない理由はたくさんある。出版社は基本的に小さなところが多いため、在庫情報を送るだけの手間が取れない。また、この在庫情報も、N社に送るだけで済むならまだ楽だけれど、各取次店やその他協会なども同じようなシステムを開発しているためそれぞれに連絡しなくてはならないのだ。これは一見楽そうに見えて、結構大変である。どこか別の団体が一元管理してくれれば…と思うけれど、それはきっと甘えでしかないだろう。
しかし。書店さんが欲しがっている情報(お客さんの欲しがっている情報)のなかで一番大事なものは、「これから出る本」と「今まで出ている本」の情報なのではないか。全国の書店さんに全部の本が並ばない以上、在庫情報をしっかりしない限り、その本がこの世に存在していることすら伝えることが出来ていないことになるのではないか。
この日、情報制度ワースト出版社というのが発表になった。てっきり、出版点数の多い大手版元がずらりと並ぶのかと思ったが、そうではなく、中小版元の名前が多数あがっていて驚いた。本が売れない時代というけれど、出版社自身が本を売ろうとしていないなら、それはそれで当たり前だと思った。そして、僕自身もそういう仕事を面倒くさがっていたので、大いに反省する。
これらのクレームをすべて一身に受けている書店さんは、もっと大変だ。