11月10日(土)
『炎のサッカー日誌&炎の休日出勤』
朝9時過ぎ、埼玉スタジアムに到着。先に来ていたOさんと合流し、傘をさしながら開門を待つ。雨が降ろうと、雪が降ろうとレッズサポはただただ待つ。ときたま、鼻水が垂れるがそれでも待つ。
開門し、席に就いたのが12時前。凍り付きそうになった身体を、アルコールで溶かす。入り口付近に立って、まだ入場できないサポーターの列を眺める。さすが埼玉スタジアム。これだけの人間が飲み込めるなんてスゴイ。
しばらくすると携帯が鳴る。K書店のNさんからで、「たまたまレッズサポの友達と見に来たのでご一緒できないか?」とのこと。もちろん喜んで席を確保するが、仕事中とまったく違う姿を見せて良いものか悩む。これで取引中止になったらどうしよう…。
続いて携帯が鳴り、今度は高校時代のクラスメートから。「埼スタだからやっと券が買えて、来たんだけど杉江はどこにいるの?」彼の持っている券は指定席だったので行き来が出来ず、旧交を暖めることができなかった。悔しい。けれど何で僕が来ていることを知っているんだ?
続いてまたまた携帯が鳴る。僕の携帯はサッカー場以外でほとんど鳴らないが、サッカーのある日はこのようにしてやたらに鳴る。忙しい。
今度は兄貴からだった。本日兄貴は母親と指定席にいるとのこと。電話の指示通りの方向を見つめると、ハンカチを振る母親の姿。最近、父母、そして兄とはサッカー場以外で会っていない。
試合は1対1で前半を折り返す。実は僕、この日、この試合の後に池袋のジュンク堂書店で坪内祐三さんのトークショーに立ち会わなければならないのだ。90分以内で決着がつけば、間に合う計算だけれど、これが延長戦に入ると話は変わる。「とにかく90分で決着を付けてくれ!」と祈りの叫びをあげたが、周りの観戦仲間は「延長」コールをし、「まさか試合の途中で仕事に行くなんてしないよな!」と脅かす。そんなことを言われても、僕だって一応サラリーマンなのだ。ここで浜本と金子に立ち会いを任せドタキャンした場合、幸せに年を越せないんじゃないかと悩む。とにかくレッズに90分勝ちしてもらうことを祈るしかない。
そんな不安を「わがまま坊や」エメルソンと「浦和のバティ」トゥットが解消してくれる。3対1の大勝利。これにてレッズのJ2降格もなくなる。最低限の幸せを噛みしめる。
いつもならヒーローインタビューを聞いて、「浦和レッズ」コールをして帰るところだけれど、走って浦和美園駅へ向かった。
予定ではいったん帰宅し、スーツに着替えるつもりだった。ところが、浦和美園駅までの道のりが長蛇の列になっていて、なかなか進まない。時間はどんどん過ぎていき、このまま直接ジュンク堂に向かわざる得なくなる。
僕の姿はチノパンとピンク色のシャツ。どうにか社会人として誤魔化せる最低限のラインか…。とにかく遅刻するよりはマシだと決断し、そのままジュンク堂へ。
目黒が司会となって進んだ坪内さんのトークショーは、感心して深く頷く話と、笑ってしまう話が飛び交い、大成功。非常に長い一日が終わる。