12月3日(月)
年末を控え、猛烈な忙しさに身を任せているうちに日記の更新が滞ってしまった。11月20日以降今日まで、手帳を覗き込めば思い出せるものの、それを書いていると延々現実の時間まで辿り着きそうにないので、とりあえず今日から復活にします。本業の営業にいそしんでいたわけなのでお許し下さい。
年末の忙しさ…というものを一番受けているのは単行本の金子である。何がキツイかといえば『増刊 おすすめ文庫王国』の編集作業で、金子はこれをほとんどひとりで作っている。去年も書いたが、この増刊。編集会議の際に僕と金子の間の暗黙の了解として「本の雑誌」編集部が作る物だと考えていた。ところがその雑誌編集部は1月、2月号をほぼ同時に作っているため、それどころではなく、気づいたら毎年金子の前に「おすすめ文庫王国」の仕事が積まれるようになっていた。原稿依頼・催促・レイアウトなどなど、ここ数日金子の机の上には、ユンケルが何本も転がっていて、目玉は真っ赤に充血し、絞り出すような声で「杉江く~ん、発売日動かせない?」なんてつぶく始末。
その姿を見ていると、つい「仕方ないから1週間ずらしましょうか?」などと優しい言葉をかけたくなるが、年末で物流が止まってしまうことを考えると、それもできない。人として情けはかけたいものの、こればかりは営業として動かせない現実で、そのことを頑なに主張すると金子は黙ってユンケルを飲み干した。
編集者…というものを身近に見つつ考えるのは、やっぱりこの人達は異常な人間だということ。このクソ忙しい状況の金子にしても、こちらから見ればと「いい加減少しは手を抜けば良いのに」と感じるほど、細部の細部までこだわり作業している。物づくり人の狂気としか思えない。
そのことは尊敬しつつも、仕事は仕事。ぶっ倒れる寸前の金子にトドメの釘を打つ!
「あの~、1月の新刊チラシも作ってくれないと、僕、営業に出られないんですけど…」
営業マンもまた、期日にとらわれた狂人である。