12月9日(日)
『炎のサッカー日誌 天皇杯篇』
サッカーバカ(僕のことですが)にとって天皇杯は大切な年末行事。いや、本来であれば年明け行事にもなるわけで、毎年、元旦国立を夢見、いっさい予定をいれずレッズの連勝街道を願っているけれど、今のところそのような初夢がに当たった試しはない。我がレッズ、ここ数年3回戦もしくは4回戦で惜しくも敗北を機し、僕らサポーターは人様より先に一年を終えてしまうのだ。
さて今年の3回戦はJ2ヴァンフォーレ甲府戦。場所は大宮サッカー場。ここはスタンドがピッチに近いため迫力満点の素晴らしいスタジアム。やっぱりスタジアムは、どれだけピッチに近いかが大切な要因だと思う。いつもの観戦仲間、KさんやOさんとともに寒さに身を捩らせつつ開門を待ち、そして、いち早く最適な場所を確保する。なんと、ベンチ真裏一列目!!
この日、この席を確保した瞬間から、僕の頭のなかにレッズの試合に対する執念は薄らぐ。なぜなら僕の目の前1メートルに選手たちがいるのだ!井原とトゥットとアリソンと啓太がリフティングをしながら日本語&ブラジル語(ポルトガル語?)で遊んでいるし、城定と永井はドリブル合戦をしている。これはもうミーハーモードがスイッチオンにならぜるえない。
試合とベンチを交互に見つつ、そのミーハーモードが最高潮に達したのは、後半開始早々。僕がこの世で一番愛する男・福田正博が、目の前でアップし出した時だった。小気味よく駆ける足音、徐々に強くなっていく呼吸音、控えメンバーに話しかけている勝利を願う言葉。すべてが僕の耳に伝わってくるではないか。これはもう何と言っていいのかわからないけれど、いわゆる失禁寸前の大興奮。
最高だ! 福田がそこにいる。声をかければきっと聞こえる。何か言わなくてと思いつつも、そう考えれば考えるほど何も浮かばない。どうも僕は、あまりに福田が近くにいすぎて、あがってしまっているらしい。
しばらくするとコーチが福田に歩み寄り、そして交代の合図を送った。ジャージを脱ぎ捨て、レッズの苦労と得点王の栄光を背負った9番が露わになる。今しか声をかける瞬間はない。僕は思いつくままに大声を出し、福田に言葉を投げつけた。
「福田! もう1点入れて来い! そして来年もオレ達と闘ってくれ!」
福田は振り向かなかった。けれど聞こえはしたと思う。いや、そう思いたい。
とりあえずレッズは2対0で勝利した。まだ今年は終わっていない。