WEB本の雑誌

1月18日(木)

直行で、武蔵野線~常磐線を営業。
 南越谷のV書店に初めて顔を出す。初めて伺うお店というのは、何年営業マンをやっていても緊張するもので、どんな人が担当者なんだろうとか、今まで来なかったことを怒られるんじゃないかとか、お店の前を行ったり来たりしながら、いろいろと考えてしまう。しかし、そんなことでウジウジしていても意味がなく、会ってみなければ何もわからないから、最後は「えーい、どうにかなるさ」と半ばヤケクソになりながら、気合いを高め、お店に飛び込むことになる。そして書店さんとの新たな出会いが待っている。

 今日初訪問のV書店は一風変わったお店で、本と雑貨を一緒に並べた面白本屋さん。ここ数年急成長のお店で、全国各地にフランチャイズ展開をしている。南越谷の店長さんに会いたいと思ったのは、出版業界新聞『新文化』に連載を持っていて、その話が非常に面白かったからだ。駅前の書店さんから数年前にこのフランチャイズに加盟して、かなりの凄腕書店員のようだった。もちろん雑貨を置くからといって、書店の心を捨てたわけでなく、本を売るための雑貨展開でもある。

 天井からいろんなものが吊るされ、ところ狭しと輸入雑貨が並べられている店内に入る。赤や黄色といった原色が目立ち、普通のいわゆる本屋さんとは趣が違う。スーツを来ている僕がお店に入るには、いささか場違いな気がするけれど、仕方がない。店内の棚をしばらく見てから、レジにいる人に話しかけた。
「初めまして、本の雑誌の杉江と申します。アポイントも取らずに申し訳ないんですが、店長さんはいっらしゃいますでしょうか。」
レジの奧にいた男性がぼそりと「僕が店長です」と言った。

 それから名刺交換をして、どうにか少しでも話ができれば…と思った。ところが、いきなり店長さんが思いもかけない言葉を発する。
「『本の雑誌』好きなんだよねえ。いっぱい話たいこともあるし、上の喫茶店に行こうよ。」

 それから1時間。忙しい身にも関わらず、「本の雑誌」のことはもちろん、お店のこと、書店のこと、店長さんのこと、お金じゃとても買うことができない大切な話を聞かせもらった。僕は、また一人大好きな書店員さんが増えたことに飛び上がる思いで、また近いうちに訪問する約束をしてお店を後にした。

 外に出て、ホッと一息。
 それにしても、僕はやっぱり『本の雑誌』という看板のおかげで仕事ができているような気がした。椎名さん、目黒さん、そして今まで『本の雑誌』に関わってきた全ての社員、助っ人。それらすべての人達の力によって、今の僕があり、仕事がある。脈々と受け継がれ、流れていく「本の雑誌」の血を汚してはいけないと強く思った。
 そして、いつか、看板に寄り掛かることなく自分自身を認められたいと思うし、また、その逆にこれからの『本の雑誌』を作る一員なのだと痛切に感じた。勝負は始まったばかり…。そして壁はあまりにでかい。