4月17日(火)
夜遅くまで『日焼け読書の旅かばん』の見本が届くのを待つ。金子とふたりソワソワした気持ちで煙草を吸い、「うまくあがっていればいいんだけどなあ」などとボソボソ話す。校正や束見本などで、だいたいの感じはつかめているものの、やっぱり現物を見るまで不安と期待が入り混じる。特に今回は金子と椎名が気合を入れて編集していたので、その想いが一層強い。
8時頃、印刷会社D社のKさんが、出来たばかりの本を持ってやってきた。挨拶もそこそこに茶紙で10冊づつ包まれた梱包のむしり取る。営業マンとしてまず確認すべきことは、コードや定価の間違いがないかということのはずなのに、今日はそれどころではない。表紙をじっと見つめ、中をめくり、本の感触を楽しむ。
「いいんじゃないですか。」と感想をもらすと、金子も満足げに煙草の煙を吐き出した。
「うーん、苦労したからなあ。」
帰りの電車のなかでじっくり読む。連載、そしてゲラの段階で読んでいるものなのに、まったく印象が変るのは本の持っている力なのだろう。
どの単行本にも著者と編集者とそして営業マンの想いがこもっている。本屋さんの店頭でその想いが少しでも伝われば、こちらとしてはうれしい限り。