WEB本の雑誌

5月17日(木)

 書店さんを訪問したついでに、すぐ近くにある有名な新古書チェーンをのぞく。そこで僕はとんでもない物を見つけてしまった。

 それは某大手版元の文芸書の単行本が10点近く平積されていたのである。どれもこれもまだ書店さんの棚にささっているような1年半くらい前の新刊だ。おまけにピカピカの新本に見えるほどきれいだった。うーん。
 しかし、驚くべきことはそんなことではなく、なんとなんとそれらどの本にもスリップが挟み込まれているのである。

 これはいったいどういうことなんだろうか?これらすべてが盗品なのかと一瞬考えたがが、その版元専門の万引犯がいるとは思えないし、また書店さんが売り払ったとも思えない。なぜなら返品できる本だったからだ。うーん、わからない。

 もしかしたら新古書店が新本も売り出すようになったのかと、本を裏返して見たけれど値札がしっかり貼られている。だいたい500円前後で売られていて、もしこの本を心ない書店が購入し、何食わぬ顔をして出版社へ返品した場合、ほぼ完全犯罪になるのではないだろうか。誰が不正返品とチェックできるのだろうか?そもそもここまでいくと、新本と古本の違いがまったくわからないではないか。

 WEB版三角窓口でも話題になっていたけれど、今出版業界では、コミック等の不正返品が大変問題視されていて(古本屋などで購入した本を通常流通で返品するなど)、それをチェックする唯一の方法がスリップにあると、僕は考えていた。しかしこのようにスリップが入った本を新古書店が売っているとなると、もうその方法は使えなくなってしまって、正当な返品か不正な返品か出版社はどのように判断するればいいのだろうか。

 それにしても、どうしてこんなものが並んでいるのか。考えれば考えるほど頭が痛くなってしまって、ほんとこんな魑魅魍魎な業界で働いていていいんだろうか?とつい自問自答してしまった。うーん、頭が痛い。