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6月5日(火)

 営業マンにとって難しいのは、初対面の訪問。担当者が変ったお店や初めて訪問するお店だと、今度はどんな人と仕事をすることになるのだろうか?とかうまくかみ合うことができるだろうか?…などと思わず緊張と不安を抱える。

 これは逆に言えば、書店さんも一緒で、出版社の営業担当が替わった途端、注文の入りが良くなったり悪くなったりすることもあるし、今まで利いていた融通が利かなくなることもあったりして、書店さん側も出版社の営業担当次第…といったところがあるのだ。それにもちろん人間的に合わない人もいるだろう。

 ただ、僕が今まで経験してきた書店さんとの出会いを考えてみると、初めから仲良く(意思疎通)出来るなんてことはほとんどなく、何度も訪問しているうちにふっとしたキッカケで、うまく会話できるようになることが多い。その瞬間が訪れたときは、たまらなくうれしいもの。

 だから僕は第一印象をあまり信じない。書店員さんが笑っているからといって余裕を持つこともないし、相手にされないからといって不平を感じることもない。何度も何度も通って、そのうち何となく意思疎通ができるようになることを信じて営業している。それに書店員さんの第一印象というのも、その人を見るより、棚を見た方がわかるような気がする。

 今日もとある書店さんでそんなことがあった。先々月、担当者が変り、その後名刺交換も含めて3度新しい担当者に会っていた。棚もしっかりしているし、注文ももらえる。でも何か噛み合わない。どこかしっくり来ないでいつも背中を丸めてお店を後にしていた。

 ところが本日訪問中、ふっとした会話のなかで、互いにサッカー好きということがわかって、その後は一気に盛り上がってしまった。

 営業を終え、その書店さんを出たところで僕は小躍りしそうになった。これだから、営業マンはやめられないのだ。