WEB本の雑誌

7月13日(金)

 7月23日搬入の新刊『One author,One book』の事前注文短冊を持って取次店廻り。N社、T社、地方小へ出かける。途中、飯田橋の深夜プラス1に寄って浅沼さんと昼食。浅沼さん、やたらに怒っていて、話を聞いた僕も一緒になって腹が立った。その内容は9月号に書くという。しばしお待ちを。

 さて、昨日書き忘れたことがあったので今日はそのことを。

 とある書店を訪問したら、店長さんがじっとテレビ画面を見つめている。
「どうしたんですか?」と一緒になって覗き込むと、4分割されたモニターには店内風景が映し出されていた。
「昨日の分なんだけれど、万引きされたみたいでね。だいたい犯人の検討はついているから、その瞬間が映っていないかチェックしているんだよ」
とのこと。

 詳しく話を聞いてみると、このお店に現在変な万引きが、横行しているらしいのだ。何が変かというと、この万引き犯、数日置きにやってきてコミックを3冊づつ盗むという。今日が1~3巻なら、次は4~6巻、それを繰り返し、ひとつの作品が終ると次なる作品へ。しかしそれだけならまだ普通の万引きと変わらないが、変なのはその盗んだ分を棚に戻すというのだ。盗んで売るという万引き犯は聞いたことがあるけれど、盗んで返す万引き犯なんて聞いたことがない。いったい何なんだ?

 そのお店の店長さんは
「親も気づくんだよね。たいしてお小遣いあげてないのに、漫画がいっぱいあると。『これはどうしたの?』って聞くわけさ。で、古本屋に売るとするでしょう、そうすると今度は、サイフのなかに異様に金がある…って同じことなんだよ。だから返しに来ているんじゃないの」
と推測する。

 しかしこの一度盗まれた本をどうしたらいいんだ?と店長さんは頭を悩めている。本は汚れているから売り物にならないし、万引きの証拠隠滅のためかスリップも捨てられている。だから返品もできず、結局、万引きされ、そのままにされたのと同じ結果にならざる得ない。

 営業話を終え、またモニターに向かう。「早送り」をしていたビデオを止め、少し巻き戻す。「ああ、やっぱりコイツらか…」と店長さんはビデオを見つめながらつぶやいた。

 万引きしている人達に伝えたいのは、ばれていないと思っているのは、その本人だけということ。もし自分の机の上から何かが無くなれば気づくように、書店員さんは棚に入っている本をほとんど覚えているのだ。棚から欠けて売上げ報告に残っていないものはすぐわかるし、そもそも自分では怪しい行動を取っていないつもりでも、普通のお客さんとの違いは一目瞭然だ。だから捕まるのは時間の問題と考えた方が良い。

最後にとある書店のポップを紹介。
「万引きしたら、君の人生は負けだ!」