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7月14日(土)

「炎のサッカー日誌」

 いつか、こういう日が来ることを願っていたような気もするし、あるいは恐れていたような気もする。グラウンド中央に敷かれた真っ赤なジュータンの上を、スポットライトに照らされた小野伸二が歩いていく。それはオランダへ続く道。

 ここのところ会う人会う人「レッズ大丈夫ですか?」と聞かれていた。
 僕は「ひとりの選手がいなくなったくらいどうでもないっす!」と元気良く答えたかったけれど、それほど今のレッズに自信はない。最高潮のパフォーマンスを見せるシンジの穴はデカイ。いったいどうしたらいいんだ?
 でもこうやって悩むことも楽しいこと…とレッズサポは知っている。

 スタジアムを埋めた―早朝から多くの人がこのときを待って並んでいた-2万人が固唾を飲んでグッドラックセレモニーを見つめていた。花束贈呈があり、記念品贈呈があり、そして、シンジのコメントがあった。その言葉を聞いて泣いている人も多かった。
 僕も泣いていた。

 シンジが最後の別れのために、スタジアムを一周する。メインスタンド、アウェーゴール裏へと報道陣に囲まれゆっくりと動く。そのとき、ジェフのサポーターから「シンジコール」が起きた。それを聞いて僕の目からまた涙があふれた。

 駒場中に「シンジコール」があふれた。
 こんな幸せな別れを僕は知らない。
 来年はオランダに行こう!

「世界にはばたけ伸二!」