7月16日(月)
残業を終え、さあ帰ろうとドアを開けたら、ちょうど椎名事務所の面々も帰宅するところだった。ではではと一緒に笹塚10号通りを歩いていくが、どうも様子がおかしい。いつもはキビキビしたSさんやTさんの呂律があやしいのだ。話を聞いてみると「即席ビアガーデン!最高ですよ。今度内線しますわ~」とのこと。何だかよくわからないけれど、とにかく屋上でビールを飲んでいたらしい。
我が社の数少ない自慢のひとつが、実はその屋上で、本当のことを言えば屋上と言うほどのスペースでもないんだけれど、とにかくここから新宿副都心の夜景がバッチリ見えて、素晴らしい景色なのだ。単行本編集の金子は、ここから見える夕焼けが大好きで、たまに屋上で風に吹かれていることがある。
こう書くと、えっ、本の雑誌社はそんな高いビルなの?とあらぬ誤解を生みそうなので説明しておくけれど、我が社は4階建ての小さなビルで、その1、2階を本の雑誌社、3階を椎名誠事務所、4階はその他といった形で使用している。地名は場所を表わす最適な言葉で作られていることが多く、本の雑誌社の住所は、中野区南台、そう高台にあたる場所なのだ。それも廻りは住宅地。だからこそ新宿の高層ビル街が見えるのである。
椎名事務所のSさんの話を聞きながら、なぜ今までそんな素晴らしいプランに気づかなかったんだろうと後悔していた。そうか、ならばこれからわざわざ高い金を出して、ビアガーデンなんぞに行かなくて良いのだ。これから6時になったら、そそくさと屋上に登ろう。今年の夏はこれでどうにか乗り越えられそうだ。