8月2日(木)
久しぶりに「これぞ!」と思わされる本に遭遇。興奮のままページをめくり納得と満足のスタンディングオーベーション。いやー、最高。
といってもこれはもしかすると読者を選ぶ本かもしれないので、大きな声では紹介できない。対象読者は、サッカーが大好きでミステリーが大好きな方、サッカーがちょっと好きでミステリーが大好きな方、またはその逆。そしてサッカーとミステリーにちょっと興味のある方ととてつもなくそのどちらかが好きな方。
とにかくこのどれかに当てはまる方は存分に楽しめると思う。言うならば、ディック・フランシスの競馬ものの、サッカー版みたいな小説なのだ。
『オウン・ゴール』フィル・アンドリュース著 玉木亨訳(角川文庫)
本の内容については、書店さんで裏表紙を読んでいただければすぐわかるとおり、30ウン歳の中年男が、ハンフリー・ボガードの映画とチャンドラーの小説を手本にひょんなことから探偵を始める話。舞台はプレミアリーグのサッカーチーム。選手が痴漢容疑で訴えられ、それを調べていくうちにどんどん大きな事件に巻き込まれていく。
そこで描かれるサッカーの話があまりに現実的で(この著者は元々そちらで活躍するスポーツジャーナリストらしい)、またその表現力は僕の一押しサッカー小説『ぼくのプレミア・ライフ』ニック・ホーンビィ著(新潮文庫)に相通じるものがある。とにかく皮肉ばかり・・・。(「訳者あとがき」には、本国でレイモンド・チャンドラーとニック・ホーンビィが出会ったような作品と紹介されていることが書かれていた)
上記読者対象の方には是非、読んで欲しい。そしてそれなりの部数を売上げ、角川書店が安心してこのシリーズをずっと訳し続けること期待します。
じゃないと僕はまたNHKの英語講座を1ヶ月だけ購入し、ペーパーバックの棚を涙ながらに見つめることになる。よろしくお願いします。