WEB本の雑誌

8月8日(水)

 またひとり懇意にしていた書店員さんが退職することとなった。

 今年の春先に売り場が変わって、直接仕事をする機会がなくなったとはいえ、そのお店に行くときは顔を出し、交流を続けていた。今日もそんなのんきな調子でエスカレーターを上っていくと、僕が見つけるより先に声をかけられる。

「杉江さん、ちょうど良いタイミング!」
この言葉を聞いて瞬間的に身を固くした。もしや…。

 「実は…」で始まった今日の会話。やはり予想通りの展開だった。「理由」も「その後」も個人の問題なので無理して問いただす気は起きない。ただただ、ショックを胸に抱え、ぼんやり事実を受け入れようとしていた。

 こういう話を聞いて、一番悔しく思うのは、出版業界に居続けることを強く薦められないことだと思う。誰だって先を考えれば暗くなるし、今を見つめてもそれほど良い業界ではないだろう。支えは好きな本があるということに尽きる。それだけのためにいろんなことを犠牲にするのもつらい。同じように思い悩むことがある僕としても、無理強いすることはできない。

 悔しくて、淋しくて、途方にくれた。

 最後に「杉江さん、これからも遊びましょうね。」と言ってくれたKさん。よくよく考えてみたらKさんの方が淋しいのだ。社交辞令にならずに、本当に今後も会える日を楽しみにしています。


『炎のサッカー日誌』

 重い気持ちを引きずったまま、会社に直帰の連絡を入れる。今日はナビスコカップ準々決勝1STレグ鹿島アントラーズ戦なのだ。

 いつもより空いている競技場に入り、席につく。目の前に広がっている照明に照らされた芝を見つめていると、すべてを忘れられるような気がしてくるのが不思議だ。選手がウォーミングアップのためにグランドに登場すれば、頭のなかが真っ白になり、そしてキックオフのホイッスルが鳴り響けば、別世界へ飛び込んでいけるのだ。

 サッカーを好きになって良かったと強く思う瞬間だ。
 そして90分後には、より一層そう思うか、それともサッカーがなければと後悔するかのどちらかだ。

 本日は危なげながらもアントラーズの選手2名の退場により1対0の勝利。レッズが荒んだ気持ちを救ってくれた。ありがとう。