WEB本の雑誌

9月26日(水)

 本の雑誌社には派閥があって、それは「目黒派」と「反目黒派」に別れる。こう書くとビックリされるだろうから、先に訂正しておくと、これは、会社としての派閥ではなく、読書の派閥のことなのでご安心を。まあ、言い換えれば「北上次郎派」と「反北上次郎派」になるということ。

 目黒派の筆頭は、事務の浜田。この人はとても奇特な人で、目黒考二がGOサインを出した本以外まったく読まない人なのだ。読書経歴は完全に目黒と一緒。オースン・スコット・カード著『消えた少年たち』(早川書房)で涙し、浅田次郎の『鉄道屋』では「角筈にて」で号泣し、志水辰夫をずーっと愛読している。周りは非常に心配しているが、浜田自身は「わたしは目黒さんに一生ついていく」と言っているので仕方ない。

 次に続く目黒派が発行人の浜本。この浜本も目黒が「イイ」と言ったものはほとんど読んでいる。ただその読後の判断は別で「目黒さんはイイっていうけど、オレは……」と話すことが少なくない。

 では、反目黒派の筆頭は誰か?
 これはもう進行の松村と単行本編集の金子の2人。
 この2人はスゴイ。

 例えば川上健一著『翼はいつまでも』(集英社)を僕と浜本が同時に読んで、社内で「傑作だぁ!」と叫んでいたときがあった。そしてみんなに読むように薦めていたとき、この二人はまったく同じ言葉をつぶやいた。
「それって、目黒さんがお薦めしていた奴でしょ、じゃあ、いいや。」
 なんとなくわかるようなわからないような感じだが、まあ、読書というのはそれだけ幅があるというものなので仕方ないだろう。

 ところで僕はというと、そろそろ目黒派を脱したいと思っているところだ。目黒さんの薦めた本を、またどうせ目黒絶賛的な話だろうとバカにしつつ読んでいるが、いつの間にかに目黒考二になっていて、感動の涙を流している。そしてその涙を拭きながら「チクショー、また目黒さんにやられた」と後悔しているのだ。

 このことを目黒さんに話したら、「杉江くん、素直になりなさい」と肩を叩かれた。