新刊めったくたガイド
1978年6月発行の第9号からスタートした「本の雑誌」の看板コーナーが、WEB本の雑誌に登場!
小財満 記事一覧
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2020年12月号掲載
ボッシュ・シリーズ第二十作『汚名』に息を呑む!
マイクル・コナリーの描く刑事ハリー・ボッシュのシリーズを読んでいる期間も足掛け三十年が近くなり、長い付き合いによる欲目がまったくないとは言わないし、『エンジェルズ・フライト』や『シティ・オブ・ボーン...記事を見る »
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2020年11月号掲載
『指差す標識の事例』は珠玉の歴史ミステリーだ!
八月、九月は年末のランキング本に向けて翻訳ミステリも点数が多いが、そんな中で今月の一冊目は一九九七年発表の歴史ミステリの傑作、イーアン・ペアーズ『指差す標識の事例』(池央耿・東江一紀・宮脇孝雄・日暮...記事を見る »
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2020年10月号掲載
現代を描く巨匠の円熟作『スパイはいまも謀略の地に』に◎!
ジョン・ル・カレ。六〇年代のデビューから五十年以上スパイ小説を書き続けてきた巨匠の二〇一九年発表──御年八十七歳時の作品『スパイはいまも謀略の地に』(加賀山卓朗訳/早川書房)が早くも邦訳となった。直...記事を見る »
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2020年9月号掲載
上手すぎるほどに上手いC・J・ボックス『発火点』に快哉!
C・J・ボックスにハズレ無し。作者は二〇〇一年のデビュー以来ワイオミング州猟区管理官ジョー・ピケットのシリーズをほぼ一年一作ペースで書き続けており、本国では二十長篇を数える長寿シリーズである。この度...記事を見る »
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2020年8月号掲載
『おれの眼を撃った男は死んだ』にガツンとやられる!
ミステリというより文芸作品の色が強い作品だが今月はシャネル・ベンツのデビュー短篇集『おれの眼を撃った男は死んだ』(高山真由美訳/東京創元社)からご紹介。二〇一四年O・ヘンリー賞受賞作品「よくある西部...記事を見る »
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2020年7月号掲載
時代の空気感を映し出す現代英国ミステリの女王のサスペンス
〈現代英国ミステリの女王〉と称されるミネット・ウォルターズの長篇第十二作、二〇〇七年発表の『カメレオンの影』(成川裕子訳/創元推理文庫)が邦訳となった。『蛇の形』以降、二〇〇〇年代の作者の作品は謎解き...記事を見る »
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2020年6月号掲載
コナリー『レイトショー』の反骨の主人公に喝采!
ロス市警の刑事ハリー・ボッシュのシリーズで知られる巨匠マイクル・コナリーの新作『レイトショー』(古沢嘉通訳/講談社文庫)はロス市警の深夜勤務担当の刑事レネイ・バラードを主人公にした新シリーズの第一作...記事を見る »
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2020年5月号掲載
悪夢の連鎖サスペンス『ザ・チェーン』を必読だ!
エイドリアン・マッキンティという作家の評価を変えねばならないだろう。こう言いかえてもいい──エイドリアン・マッキンティ、こんな作品も書けたんか!! この作家は紛争下の北アイルランドを舞台にした警察小...記事を見る »
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2020年4月号掲載
孤軍奮闘の生物学探偵セオ・クレイが帰ってきた!
今月は「これぞ大作!」という単行本作品ではないが、ピリッと辛い刺激的な文庫作品四作をご紹介。まずはアンドリュー・メイン『生物学探偵セオ・クレイ 街の狩人』(唐木田みゆき訳/ハヤカワ・ミステリ文庫)。...記事を見る »
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2020年3月号掲載
ベテラン作家のパーフェクトな私立探偵小説だ!
ウォルター・モズリイがまた読める日が来るとは(ほぼ二十年ぶり)そしてこれがまた探偵小説として傑作であることがただただ嬉しい。というわけで今月は二〇一九年エドガー賞最優秀長篇賞『流れは、いつか海へと』...記事を見る »
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2020年2月号掲載
絵画をめぐるミステリー『パリのアパルトマン』をお勧め!
ジャン=クリストフ・グランジェやピエール・ルメートルをしのぎ、現在フランスで最も売れているベストセラー作家、ギヨーム・ミュッソの新作『パリのアパルトマン』(吉田恒雄訳/集英社文庫)は一見地味なタイト...記事を見る »
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2020年1月号掲載
『隠された悲鳴』に込められたボツワナの人々の叫び
南部アフリカの国、ボツワナ共和国の女性では同国で初めての最高裁判事を経て現在は外務国際協力大臣であり、人権活動家、そして作家という多彩な顔を持つユニティ・ダウのサスペンス小説『隠された悲鳴』(三辺律...記事を見る »
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2019年12月号掲載
哀しきギャングの逃避行『11月に去りし者』がいいぞ!
かっ飛んだ内容で話題となった2014年邦訳のルー・バーニーのデビュー作『ガットショット・ストレート』といえばクライム・ノヴェルの愛好家の方々には記憶に新しいだろうか。この作者の最新作『11月に去りし...記事を見る »
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2019年11月号掲載
トマス・ハリス79歳の新境地『カリ・モーラ』にぶっ飛ぶ!
えっ、あの発表の全作品が映画化されている、かのレクター博士の生みの親、『羊たちの沈黙』『ハンニバル』で有名な世界的大ヒット作家トマス・ハリスってこんな作家だったんですか!? ですか!? ですか......記事を見る »
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2019年10月号掲載
麻薬戦争三部作完結編『ザ・ボーダー』を読むべし!
今月読むべきはなにをおいても巨匠ドン・ウィンズロウの最新作『ザ・ボーダー』(田口俊樹訳/ハーパーBOOKS)だろう。DEA(米国麻薬取締局)の捜査官アート・ケラーを主人公に麻薬戦争の歴史を描いてきた...記事を見る »
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2019年9月号掲載
スウェーデンの歴史ミステリ『1793』を推す!
スウェーデンの歴史ミステリ、『1793』ニクラス・ナット・オ・ダーグ(ヘレンハルメ美穂訳/小学館)。本作の描くストックホルムの猥雑な都市の空気感、そして当時の未完成な法制度のもとで正義を追い求める主...記事を見る »
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2019年8月号掲載
紫金陳『知能犯之罠』の壮大な完全犯罪を見よ!
ここ数年、陳浩基や陸秋槎など中国圏のミステリが紹介されるようになり、今年はその流れが定着しはじめたように思う。そんな中、本国では「東野圭吾に匹敵」と評される中国人ミステリ小説作家、紫金陳の〈官僚謀殺...記事を見る »
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2019年7月号掲載
少年たちの物語が交錯する『指名手配』がいいぞ!
ロバート・クレイス『指名手配』(高橋恭美子訳/創元推理文庫)はロサンゼルスの私立探偵エルヴィス・コールのシリーズ第十三作(相棒ジョー・パイクのシリーズを含めると第十七作)。日本では第六作『サンセット...記事を見る »
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2019年6月号掲載
『戦場のアリス』の不屈の女性たちに感動!
ケイト・クイン『戦場のアリス』(加藤洋子訳/ハーパーBOOKS)は第一次世界大戦中、ドイツ軍占領下のフランスで諜報活動を行っていた実在する女性たちを題材にした歴史ミステリ。ボストン・テラン『音もなく...記事を見る »
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2019年5月号掲載
上空数千メートルのタイムリミット・サスペンスだ!
昨年、豪華客船を舞台にした『乗客ナンバー23の消失』で六年ぶりの邦訳となったドイツ人ミステリ作家セバスチャン・フィツェックが今年も帰ってきた。デビュー作『治療島』からはじまり仕掛け満載のサイコサスペ...記事を見る »
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2019年4月号掲載
ヒトラーが主役の探偵小説『黒き微睡みの囚人』を推す!
イスラエル生まれのSF作家ラヴィ・ティドハーの二〇一四年発表作品『黒き微睡みの囚人』(押野慎吾訳/竹書房文庫)はメタフィクショナルな歴史改変SFでありながら、アドルフ・ヒトラーを主人公としたパルプ・...記事を見る »
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2019年3月号掲載
無法者と娘の逃避行『拳銃使いの娘』が胸を打つ!
犯罪をおかすことでしか、生きられない者もいる。無法者、すなわち拳銃使いだ。ジョーダン・ハーパー『拳銃使いの娘』(鈴木恵訳/ハヤカワ・ミステリ)はそんな無法者と、五年ぶりに再会した娘との決死の逃避行を...記事を見る »
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2019年2月号掲載
ベテラン作家と元大統領のあっと驚くテクノスリラー
『大統領失踪』!! 説明!! アメリカ合衆国大統領が、失踪しますよ!!(そのまんま) というわけで今回のトップバッターはビル・クリントン/ジェイムズ・パタースン『大統領失踪』(越前敏弥・久野郁子訳/...記事を見る »
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2019年1月号掲載
凄まじい筆力のサスペンス『レイチェルが死んでから』に注目!
2017年エドガー賞最優秀新人賞。この年の候補作で言えばビル・ビバリー『東の果て、夜へ』を偏愛する自分ではあるが、当の受賞作フリン・ベリー『レイチェルが死んでから』(田口俊樹訳/ハヤカワ・ミステリ文...記事を見る »