新刊めったくたガイド
1978年6月発行の第9号からスタートした「本の雑誌」の看板コーナーが、WEB本の雑誌に登場!
松井ゆかり 記事一覧
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2023年11月号
主人公のまっすぐさが胸を打つ木内昇『かたばみ』がいい!
木内昇『かたばみ』(KADOKAWA)は、昭和生まれの自分にとっては涙が出るほど郷愁を誘われる物語だが、あらゆる世代の読者に読んでもらいたい一冊だ。 昭和十八年、主人公の悌子はずっと槍投げでオリン...記事を見る »
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2023年10月号
ヤングケアラーの問題を描く前川ほまれ『藍色時刻の君たちは』
ヤングケアラーという言葉は、いままでなかなか注目されてこなかった"家事や家族の世話を担っている子ども"の存在を人々に意識させるきっかけとなった。前川ほまれ『藍色時刻の君たちは』(東京創元社)は、家族...記事を見る »
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2023年9月号
王谷晶『君の六月は凍る』に心をつかまれる!
王谷晶『君の六月は凍る』(朝日新聞出版)の表題作は、「君の六月は凍った」という一文から始まる。冒頭から否応なく心をつかまれるこの作品において、主人公の「わたし」をはじめ登場人物たちは固有名詞を持たず...記事を見る »
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2023年8月号
三浦しをんの筆が冴え渡る『墨のゆらめき』がいいぞ!
三浦しをん『墨のゆらめき』(新潮社)は、著者の筆が冴え渡るバディもの。新宿にあるこぢんまりとした三日月ホテルに勤務する語り手の続力(チカ)は、ある夏の日に書家の遠田薫の書道教室を訪れた。ホテルの宴会...記事を見る »
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2023年7月号掲載
一穂ミチ『うたかたモザイク』のバラエティ豊かな十三編に驚く!
人はどんな風にでも生きられる。誰もがそのことをわかっているはずなのに、自分が考える"常識"からはみ出した生き方をしている他者に出会うと戸惑ってしまいがちだ。 一穂ミチ『うたかたモザイク』(講談社)...記事を見る »
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2023年6月号
型破りで胸躍る評伝小説門井慶喜『文豪、社長になる』
本誌の読者であれば、「本の雑誌」創刊秘話を熱く描いたカミムラ晋作さんの漫画『黒と誠』(双葉社)を愛読されている方も多いに違いない。そこで、出版社がどのように創立されたかについて史実をもとに描かれた門...記事を見る »
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2023年5月号
姉妹と人々の四十年の物語『水車小屋のネネ』がいい!
「ニッパチ(二月と八月)は本が売れない。だから出版社も新刊にあまり力を入れないのだ」と教えられた覚えがあるのは、気のせいだろうか。そうでなければ、エース級作家たちの新刊が続々と刊行された今年の二月の活...記事を見る »
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2023年4月号
一度も会話のない母娘の物語 朝比奈秋『植物少女』
春は始まりの季節。今月は"新人作家祭り"ということでお届けしたい。全員二〇二〇年以降のデビューというフレッシュなみなさんである。 朝比奈秋『植物少女』(朝日新聞出版)は、一度も会話をしたことのない...記事を見る »
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2023年3月号
片瀬チヲルのシンプルな物語に感動!
片瀬チヲル『カプチーノ・コースト』(講談社)は、"概ね全編にわたって主人公が海岸でゴミを拾う"というシンプルな物語であるが、不思議な感動を呼び起こす。早柚はある事情で会社を休職中。五月のある日砂浜を...記事を見る »
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2023年2月号
額賀澪『タスキメシ 五輪』で東京オリンピックを振り返る
駅伝ファンにとって、年始はニューイヤー&箱根という二大大会が開催される時期だ。しかし、駅伝がない一年の大半の日々、私たちは何に楽しみを見出せばいいのか。そこで、選手たちを食事という面から支える人々を...記事を見る »
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2023年1月号
原田ひ香『老人ホテル』に胸がざわざわする!
「親ガチャ」という言葉がだいぶ浸透してきたと感じるのは、それだけ親子関係に悩む人が多いことの表れではないだろうか。原田ひ香『老人ホテル』(光文社)の主人公・日村天使(読みは「えんじぇる」)は、大宮の「...記事を見る »