新刊めったくたガイド
1978年6月発行の第9号からスタートした「本の雑誌」の看板コーナーが、WEB本の雑誌に登場!
酒井貞道 記事一覧
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2023年9月号
恩田陸の新たな代表作をセットで読むべし!
今回は何よりもまず、恩田陸の野心作から評を始めねばなるまい。集英社から連月で刊行された恩田陸の『鈍色幻視行』と『夜果つるところ』は対を成す物語で、『夜果つるところ』は『鈍色幻視行』の核心となる作中作...記事を見る »
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2023年8月号
森川智喜の粒ぞろいの短編集『動くはずのない死体』をおススメ!
森川智喜『動くはずのない死体』(光文社)は、収録五篇がいずれも粒揃いで全てに触れざるを得ず、結果字数を食うという、ありがたくも嘆かわしい一冊である。冒頭の「幸せという小鳥たち、希望という鳴き声」は、...記事を見る »
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2023年7月号
衝撃度も情念もピカイチの『レモンと殺人鬼』をオススメ!
くわがきあゆ『レモンと殺人鬼』(宝島社文庫)は『このミステリーがすごい!』大賞の文庫グランプリ受賞作である。小林姉妹は、十年前に、洋食屋を営んでいた父親が何者かに殺され、母親も失踪し、それ以後は貧し...記事を見る »
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2023年6月号
『SGU警視庁特別銃装班』の馬鹿でかいスケールに驚愕!
冲方丁の『SGU警視庁特別銃装班』(TOブックス)には驚かされた。本書で近未来の日本社会は、殺傷力の高い銃を装備した銀行強盗が横行するほど治安が悪化した、と設定されている。序盤で早速、強盗事件が発生...記事を見る »
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2023年5月号
夢の内外で展開する篠谷巧の技に油断禁物だ!
意識不明になった主人公の目を覚ますため、ヒロインが枕元で、高校時代に描かれた、主人公の黒歴史である連作漫画を大声で朗読する。共感性羞恥で読者にもダメージが入りかねないこの鬼畜の所業が、篠谷巧『君のい...記事を見る »
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2023年4月号
年度ベスト級のミステリ『木挽町のあだ討ち』を読むべし!
あらゆる要素が最終章で美しく収斂する、年度ベスト級のミステリが現れた。その永井紗耶子『木挽町のあだ討ち』(新潮社)は、江戸時代を舞台とする時代小説だ。木挽町にある芝居小屋の裏手で、若侍・菊之助が博徒...記事を見る »
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2023年3月号
青崎有吾の短篇集『11文字の檻』に圧倒される!
『11文字の檻』(創元推理文庫)は、ミステリ作家・青崎有吾の、高密度で幅の広い芸風が読者を圧倒する。 最初の二本は、挨拶代わりの本格ミステリだ。「加速してゆく」は、JR西日本の福知山線脱線事故を題材...記事を見る »
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2023年2月号
米澤穂信『栞と嘘の季節』の不穏なコンビが愛しい!
十代の多感な若者が、切り札──人を殺せる猛毒を手に入れたらどうなるのか? 『栞と嘘の季節』(集英社)は、この問いを追求する。高校の図書委員、堀川と松倉は、図書室でトリカブト製の栞を見つける。校舎裏に...記事を見る »
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2023年1月号
辻堂ゆめ『君といた日の続き』のダメ押し展開がすごい!
《本の雑誌》読者の皆様、お久しぶりの方はお久しぶりです。今月から新刊国内ミステリのガイドを務める酒井貞道です。当ジャンルは今や百花繚乱、種類も豊富で、毎月目移り必至。一緒に楽しんでいきましょう。 で...記事を見る »