新刊めったくたガイド
1978年6月発行の第9号からスタートした「本の雑誌」の看板コーナーが、WEB本の雑誌に登場!
柿沼瑛子 記事一覧
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2024年9月号
本格あり青春ありコージーありの『白薔薇殺人事件』を推す!
ホロヴィッツと並ぶクリスティの後継者といわれるクリスティン・ペリンの『白薔薇殺人事件』(上條ひろみ訳/創元推理文庫)の印象をひとことでいうならてんこもりのパフェのような作品である。主人公アニーは二十...記事を見る »
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2024年8月号
スリリングでユーモラスな『マクマスターズ殺人者養成学校』
ルパート・ホームズって「エスケープ」や「ヒム」のルパート・ホームズ?と思って調べてみたらやっぱりあのルパート・ホームズだった!(当時はホルムズ)。そのルパート・ホームズ『マクマスターズ殺人者養成学校...記事を見る »
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2024年7月号
人情味とほろ苦さが"いい塩梅"な『ミステリーしか読みません』に◎!
世の中には「いい塩梅」という言葉があるが、これにぴったりなのがイアン・ファーガソン&ウィル・ファーガソンの『ミステリーしか読みません』(吉嶺英美訳/ハーパーBOOKS)である。お色気聖女探偵、必殺兵...記事を見る »
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2024年6月号
張國立『炒飯狙撃手』は胸アツの中華ミステリーだ!
読んだ人みんなが炒飯を食べたくなるという張國立『炒飯狙撃手』(玉田誠訳/ハーパーBOOKS)、かくいう私も三回作った(笑)。いっけんキワモノっぽいタイトルだが、飯作りの名手であり、スナイパーでもある...記事を見る »
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2024年5月号
"平凡すぎる"顔のポールとにわかトリオががんばる!
クイーム・マクドネルのダブリン三部作の第二弾『有名すぎて尾行ができない』(青木悦子訳/創元推理文庫)が出た! 別に有名すぎてなくても、あんた尾行なんかできないじゃんと突っ込みたくなるタイトルだが、あ...記事を見る »
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2024年4月号
不気味で動機が見えないインドリダソン『悪い男』の恐怖
アーナルデュル・インドリダソンの新作『悪い男』(柳沢由実子訳/東京創元社)の主人公はいつものエーレンデュルではなく、婦人警官エリンボルグである。偏屈な(!)エーレンデュルが主人公だと内省的というか、...記事を見る »
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2024年3月号
カリン・スローター『暗闇のサラ』は生きるための戦いの物語だ
歴代大河の女性ヒロインを特集した番組を見ていたら『八重の桜』の名セリフ「ならぬことはならぬのです」が! あのドラマでは自らの信念を曲げず戦う女性の象徴として使われていたのだが、カリン・スローターの作...記事を見る »
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2024年2月号
M・ロウレイロ『生贄の門』の主人公コンビがいいぞ!
ジェレミー・ブレットがホームズを演じたグラナダ版ホームズは全部とはいわないまでも、NHK-BSとAXNミステリーでほぼ観ているのだが、ジェレミー・ブレットの顔が後半に行くにしたがって病のせいでどんど...記事を見る »
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2024年1月号
地道なヒロインの第二作にぶわっと涙!
「人生の酸いも甘いも噛み分けた、どーんと肝の据わったヒロイン」イモージェン・クワイは地道ながらも読者の心をつかんでいるようで、第二作『ケンブリッジ大学の途切れた原稿の謎』(ジル・ペイトン・ウォルシュ/...記事を見る »
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2023年12月号
読んでも読んでも終わらない『グレイラットの殺人』が嬉しい!
それにしてもM・W・クレイヴンのワシントン・ポーシリーズはどんどん長くなっていく。今作『グレイラットの殺人』(東野さやか訳/ハヤカワ・ミステリ文庫)は紙の本の重さに負けて電子書籍で読んでいたのだが、...記事を見る »
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2023年11月号
エドワーズ『処刑台広場の女』のクールなヒロインに注目!
一部の例外を除けば、必ずしもいい評論家=いいミステリ作家とは限らないのだが、マーティン・エドワーズの『処刑台広場の女』(加賀山卓朗訳/ハヤカワ・ミステリ文庫)はいい意味でそれを裏切ってくれる快作であ...記事を見る »
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2023年10月号
壮大な環を描く三部作完結編『卒業生には向かない真実』
ホリー・ジャクソンの『自由研究には向かない殺人』で颯爽と登場した女子高校生探偵ピップは怖いもの知らずで、正義感あふれるヒロインだった。しかしこのシリーズ最終作『卒業生には向かない真実』(服部京子訳/...記事を見る »
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2023年9月号
闘う子供たちの物語キング『異能機関』を一気読み!
二〇二四年に作家生活五十周年を迎えるスティーヴン・キングの最新作『異能機関』(白石朗訳/文藝春秋)は、闘う子供たちの物語だ。まあ、キングのことだからラストは信頼してもいいよね、と思いながらも、ついつ...記事を見る »
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2023年8月号
『暗殺者たちに口紅を』の格好いいばあちゃんにスッキリ!
最近巷では七十代から八十代のおばあちゃんたちが主人公のマンガが売れているそうな。老後の不安の裏返しともいえるが「馬鹿にすんな、あたしたちはまだまだ現役だ!」という無言のプロテストに取れなくもない。ミ...記事を見る »
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2023年7月号
悔恨と哀しみのいりまじる『円周率の日に先生は死んだ』
自慢ではないがわたしは算数も数学も超苦手である。ヘザー・ヤングの『円周率の日に先生は死んだ』(不二淑子訳/ハワカワ・ミステリ文庫)は、タイトルからしてどんな難しい数学の話が出てくるのかと思いきや、苦...記事を見る »
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2023年6月号
アン・クリーヴスの新シリーズ『哀惜』登場!
『哀惜』(高山真由美訳/ハヤカワ・ミステリ文庫)はぺレス警部でおなじみアン・クリーヴスの新シリーズ第一作である。ノース・デヴォンの海岸でアルコール依存症のホームレスの死体が発見される。事件を担当する警...記事を見る »
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2023年5月号
ちょっと不気味なジュブナイル C・ブランド『濃霧は危険』に驚愕!
クリスチアナ・ブランドはご存じのとおり、英国本格ミステリーの代表的作家であるが、マチルダばあやシリーズという子供向けの童話も書いている。そのもう少し年長版のジュヴナイルが今回の『濃霧は危険』(宮脇裕...記事を見る »
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2023年4月号
キャリア45年の女殺し屋爪角の生きざまを見よ!
ク・ビョンモ『破果』(小山内園子訳/岩波書店)のヒロイン爪角は「ノワール×おばあちゃん?!」という帯の惹句のごとく、キャリア四十五年のベテラン殺し屋である。目立たない老婆であるという外見をいかし、必...記事を見る »
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2023年3月号
「悪」と対決する若造主人公を応援する!
ウィンストン・グレアムの『罪の壁』(三角和代訳/新潮文庫)は一九五五年のCWA第一回最優秀長編賞作品である。主人公フィリップは考古学者の兄がアムステルダムで投身自殺したという連絡を受け、急遽アメリカ...記事を見る »
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2023年2月号
P・ブランチ『死体狂躁曲』の軽味とスピード感が楽しい!
2022年はひと足先に論創社から『ようこそウェストエンドの悲喜劇へ』が紹介され、さらには今回の『死体狂躁曲』(小林晋訳/国書刊行会)と、四作しか残されていない長編のふたつも紹介されてしまうなんて、も...記事を見る »
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2023年1月号
スーシェ『ポワロと私』の「シェラミ」に涙!
デビッド・スーシェ『ポワロと私』(高尾菜つこ訳/原書房)はこの原稿を書いている時点で重版になっているとのことで、ちょっと意外だった。ホームズならともかくクリスティ本人も「うんざり」と公言している、あ...記事を見る »