新刊めったくたガイド
1978年6月発行の第9号からスタートした「本の雑誌」の看板コーナーが、WEB本の雑誌に登場!
大森望 記事一覧
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2024年8月号
『精霊を統べる者』のスチームパンクなカイロに浸る!
今月の目玉は、P・ジェリ・クラークの第一長編『精霊を統べる者』(鍛治靖子訳/創元海外SF叢書)★★★½。一昨年のネビュラ賞長編部門など4冠を獲得した改変歴史スチームパンクの話題作だ。 舞台は191...記事を見る »
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2024年7月号
地球環境から野球まで短編SF祭りだ!
今月は、約1年ぶりの短編SF祭り。数が多いのでどんどん行こう。『地球へのSF』(ハヤカワ文庫JA)★★★½は、日本SF作家クラブ編のテーマ別書き下ろしアンソロジー第4弾。主に地球環境を題材にした22...記事を見る »
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2024年6月号
坂崎かおるの超ハイレベルな短編集『嘘つき姫』をくらえ!
今月のイチ推しは、(辞退した阿波しらさぎ文学賞を除いても)数々の短編賞を獲得してきた坂崎かおるが満を持して放つ『嘘つき姫』(河出書房新社)★★★★½。デビュー単行本ながら、今年のベストを争うすばらし...記事を見る »
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2024年5月号
夏と思春期から終末SFまで新人デビュー作続々登場!
雑誌掲載時に本誌先々月号で紹介した間宮改衣のハヤカワSFコンテスト特別賞受賞作『ここはすべての夜明けまえ』(早川書房)★★★★½が単行本化され、発売即重版!と、予想通り旋風を巻き起こしているが、他社...記事を見る »
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2024年4月号
今年度翻訳SFベストワン有力候補『ロボットの夢の都市』登場!
早くも今年の翻訳SFベストワン有力候補が登場した。イスラエル出身のラヴィ・ティドハーが一昨年出した長編『ロボットの夢の都市』(茂木健訳/創元海外SF叢書)★★★★★がそれ。邦訳して200頁少々という...記事を見る »
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2024年3月号
間宮改衣の強烈なデビュー作『ここはすべての夜明けまえ』をくらえ!
新年の幕開けには新人がふさわしい。ってことで(執筆時点の)2024年1発目は、第11回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作、矢野アロウ『ホライズン・ゲート 事象の狩人』(早川書房)★★★½。 太陽の1...記事を見る »
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2024年2月号
酉島伝法の超弩級長編『奏で手のヌフレツン』に五つ星!
ベストテン年度が改まり、早くも2024年の上位を窺う注目作が続々登場している。酉島伝法『奏で手のヌフレツン』(河出書房新社)★★★★★は、著者4年ぶりの書き下ろし第二長編。 物語の舞台は、無限に広...記事を見る »
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2024年1月号
竜のグリオールシリーズ最終巻『美しき血』に圧倒される!
全長1800メートルの巨竜グリオールは、古今東西のファンタジーに描かれた無数のドラゴンの中でも一番印象的なものの一つ。ルーシャス・シェパード『美しき血』(内田昌之訳/竹書房文庫)★★★★は、その〈グ...記事を見る »
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2023年12月号
今年のSF短篇集ベストワン候補 フォード『最後の三角形』がいいぞ!
紹介が1カ月遅れになったが、今年のSF短篇集ベストワンを争う1冊が出ている。ジェフリー・フォード『最後の三角形』(東京創元社)★★★★½は、18年12月に出た『言葉人形』に続く、谷垣暁美編訳のフォー...記事を見る »
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2023年11月号
悪逆非道の家庭用ロボット チク・タクがすばらしい!
ジョン・スラデックの超破天荒なロボットSF長編 Tik-Tok (1983)が、原書刊行から40年を経てついに邦訳された。残念ながら現状TikTokを検索しても関連動画は全然上がってませんが、10回...記事を見る »
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2023年10月号
万城目学の現代京都ファンタジー『八月の御所グラウンド』がすばらしい!
SFの夏が来た! と叫びたいところだが、暑すぎるせいかどうも気分が盛り上がらない。今月一番の話題作、ジョン・スコルジー『怪獣保護協会』(内田昌之訳/早川書房)★★½からして微妙。"並行宇宙のもう一つ...記事を見る »
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2023年9月号
小田雅久仁『禍』は最上級の体験型幻想小説集だ!
先月積み残した『ロボット・アップライジング AIロボット反乱SF傑作選』(中原尚哉ほか訳/創元SF文庫)★★★★は、2014年にアメリカで刊行された(再録5編を含む)書き下ろしアンソロジーの抄訳(全...記事を見る »
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2023年8月号
AIからスーパーヒーローまで短編SF祭りだ!
今月は、国内作品を中心に、年に一度の(?)短編SF祭り。一番手は日本SF作家クラブ編のテーマ別書き下ろしアンソロジー第3弾『AIとSF』(ハヤカワ文庫JA)★★★★。ChatGPTブームのご利益か、...記事を見る »
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2023年7月号
X・J・ジャオ『紅鉄鋼女』はノリノリのロボット格闘SFだ!
今月はSFど真ん中の注目作がどさどさ出ている。中でもイチ押しは、シーラン・ジェイ・ジャオ『紅鉄鋼女』(中原尚哉訳/ハヤカワ文庫SF)★★★★½。中国生まれのカナダ人作家(ノンバイナリー)の第一長編と...記事を見る »
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2023年6月号
驚天動地の改変歴史小説『文明交錯』をイチ推しだ!
今月一番の話題作は、もちろん村上春樹6年ぶりの長編『街とその不確かな壁』(新潮社)★★★½。40年前に発表したほぼ同名の中編のリテイクを第一部に置いたユング的ファンタジー、または『世界の終りとハード...記事を見る »
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2023年5月号
年間ベスト級の作品集『ガーンズバック変換』と『回樹』に◎!
創元SF文庫から、2010年代を代表する三部作の完結編が相次いで刊行された。1月に出たユーン・ハ・リー『蘇りし銃』(赤尾秀子訳/創元SF文庫)★★★½は『ナインフォックスの覚醒』『レイヴンの奸計』に...記事を見る »
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2023年4月号
西暦80万年の小説からゴリラ裁判まで新春新人ショーだ!
今月は、新春シャンソン......じゃなくて新春新人ショーを勝手に開催する。まずは第10回ハヤカワSFコンテスト受賞作から。大賞を射止めた小川楽喜『標本作家』(早川書房)★★★½は、人類文明がとっく...記事を見る »
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2023年3月号
超高密度のサイキックSFサスペンス谷口裕貴『アナベル・アノマリー』完結!
シリーズ第1作「獣のヴィーナス」の〈SF Japan〉掲載から22年。既発表2篇に新作2篇を加え、谷口裕貴『アナベル・アノマリー』(徳間文庫)★★★★がついに出た。12歳の少女アナベルは、人為的に生...記事を見る »
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2023年2月号
"いま、そこにある未来"を描く『マシンフッド宣言』
AI、VR、身体改変、汎用3Dプリンタ、環境汚染、監視社会......"いま、そこにある未来"を描くのはSFの本流だが、今月はその種の作品が揃った。 インド生まれの米国人女性作家、S・B・ディヴィ...記事を見る »
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2023年1月号
ベスト候補長篇から時間SFまで小説ぜんぶ早川書房祭りだ!
今月は(9月からの積み残し分も含めて)小説ぜんぶ早川書房祭り。まずは単行本から。長谷敏司の書き下ろし『プロトコル・オブ・ヒューマニティ』(早川書房)★★★★½は『BEATLESS』以来なんと10年ぶ...記事を見る »
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2022年12月号
採れたて改変歴史SFアンソロジー『ifの世界線』がすごい!
秋の日本SFアンソロジー祭りはまだつづく。『ifの世界線』(講談社タイガ)★★★★½は、小説現代4月号と10月号に掲載された5作を集めるハイレベルな採れたて改変歴史SFアンソロジー。まさかタイガでこ...記事を見る »
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2022年11月号
新しい才能が花開くSFアンソロジー2連発!
このところSF短編の新しい書き手が急増しているという話を少し前のSFマガジンに書いたんですが、井上彼方編『SFアンソロジー 新月/1 朧木果樹園の軌跡』(発行・Kaguya Books/発売・社会評...記事を見る »
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2022年10月号
驚愕の真相へ突き進む『ヨーロッパ・イン・オータム』
アポロ計画は1972年に17号で幕を閉じたが、もし仮に翌年も続いていたら──というのが、クリス・ハドフィールド『アポロ18号の殺人』(中原尚哉訳/ハヤカワ文庫SF上下各)★★★★。題名だけ見ると本格...記事を見る »
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2022年9月号
ダントツに面白い韓国SF『極めて私的な超能力』に注目!
中国SFに続いて韓国SFの邦訳も増えているが、SF的な面白さでは、《新☆ハヤカワ・SF・シリーズ》から出たチャン・ガンミョンの短篇集『極めて私的な超能力』(吉良佳奈江訳)★★★★★がダントツ1位。1...記事を見る »
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2022年8月号
新鋭続々登場のアンソロジー2連発だ!
日本SF短篇に新しい書き手が急増している─という話をSFマガジン8月号に書いたんですが、これから紹介する2冊がその証拠。『2084年のSF』(ハヤカワ文庫JA)★★★★は、去年出た『ポストコロナのS...記事を見る »
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2022年7月号
雪風シリーズ13年ぶりの新刊『アグレッサーズ』が楽しい!
「シン・ウルトラマン」観ながら、そう言えばウルトラマンもファーストコンタクトもの(+侵略もの)だったなあと今さらながらに思ったわけですが、今月は小説でもコンタクト(地球外知性/生物との接触)を描く話題...記事を見る »
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2022年6月号
長編&アンソロジーの中国女性SFラッシュだ!
中国SFの翻訳ラッシュが止まらない。今月は、女性作家の新刊が2冊。これが4冊めの訳書となる郝景芳の『流浪蒼穹』(及川茜・大久保洋子訳/早川書房)★★★は、《新☆ハヤカワ・SF・シリーズ》の2段組で本...記事を見る »
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2022年5月号
秀作爆笑作揃い踏みのAIロボットアンソロジー登場!
これだけレベルの高いオリジナルアンソロジーは珍しい。ジョナサン・ストラーン編『創られた心 AIロボットSF傑作選』(佐田千織ほか訳/創元SF文庫)★★★★½は、書き下ろし16編を収める Made t...記事を見る »
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2022年4月号
ラファティ版〝伝奇集〟『とうもろこし倉の幽霊』がいいぞ!
牧眞司編《ラファティ・ベスト・コレクション》全2巻に続き、井上央編訳によるR・A・ラファティ短篇傑作選『とうもろこし倉の幽霊』(新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)★★★★½が登場した。オール本邦初訳の全...記事を見る »
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2022年3月号掲載
IT+ナチスの改変歴史SF『NSA』をお薦め!
新年1発目は、2019年のクルト・ラスヴィッツ賞に輝くドイツSF、アンドレアス・エシュバッハ『NSA』(赤坂桃子訳/ハヤカワ文庫SF)★★★★。エシュバッハと言えば、03年に邦訳された『イエスのビデ...記事を見る »
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2022年2月号掲載
アンディ・ウィアーが放つやけっぱち大作戦に五つ星!
2021年も押しつまって、単発SF長篇の年間ベスト1が登場した。『火星の人』のアンディ・ウィアーが放つ『プロジェクト・ヘイル・メアリー』(小野田和子訳/早川書房)★★★★★である。 時は近未来。太...記事を見る »
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2022年1月号
独創的かつ圧倒的な小田雅久仁『残月記』に五つ星!
永遠の名作『本にだって雄と雌があります』から9年。待望久しい小田雅久仁の新著『残月記』(双葉社)★★★★★がついに出た。月にまつわる3話の連作で、最初の2話も年間ベスト級だが、全体の半分強を占める2...記事を見る »
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2021年12月号掲載
22本の『異常論文』にSFの真髄を見た!
今年の日本SF界隈の話題を席捲したあの〝異常論文〟企画が(SFマガジン6月号の特集を経て)ついに書籍化。ハヤカワ文庫JAの記念すべき1500番を飾った。その名も『異常論文』(樋口恭介編)★★★★½。...記事を見る »
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2021年11月号掲載
趣向たっぷりの短編集宝樹『時間の王』をお薦め!
中国SF邦訳ラッシュが止まらない。宝樹『時間の王』(稲村文吾・阿井幸作訳/早川書房)★★★★は、《三体》三部作の二次創作でデビューした著者の初の邦訳書。2012年~18年に発表された時間SF7篇を収...記事を見る »
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2021年10月号掲載
蜘蛛が健気な宇宙SF『時の子供たち』に一票!
今月の翻訳SFは、2年半ぶり開催の内田ダービー。前回はホーガン×スコルジーのベテラン対決でしたが、今回は本邦初訳作家の宇宙SF2作が、ともに内田昌之訳で激突する。 見た目のインパクトで先行するのは...記事を見る »
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2021年9月号掲載
量子論SFな幻想小説『貝に続く場所にて』にビックリ
芥川賞・直木賞の候補作を全作読むという難行苦行をかれこれ20年近く続けてるんですが、そのおかげで、たまにビックリするような小説に出会うことがある。第165回芥川賞に輝く石沢麻依のデビュー作『貝に続く...記事を見る »
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2021年8月号掲載
ビショップの時間SF大作『時の他に敵なし』がすごい!
いわゆる"幻のSF長篇"の中でも最大級の大物、マイクル・ビショップの代表作にしてネビュラ賞受賞作 No Enemy But Time(1982)が、原書刊行から40年近くを経てついに邦訳された。『時...記事を見る »
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2021年7月号掲載
超絶スケールで暴走する『三体Ⅲ 死神永生』に茫然!
各種コロナ禍本が書店の店頭を賑わす今日この頃ですが、キャロル・スタイヴァースの第一長篇『マザーコード』(金子浩訳/ハヤカワ文庫SF)★★★½は、パンデミックによる人類滅亡とその後の小さな希望を描く終...記事を見る »
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2021年6月号掲載
圧倒的に素晴らしい作品集『過ぎにし夏、マーズ・ヒルで』
早くも今年のベスト候補が現れた。エリザベス・ハンド『過ぎにし夏、マーズ・ヒルで』(市田泉訳/創元海外SF叢書)★★★★½は、(ノベライズを除き)著者27年ぶりの邦訳書。世界幻想文学大賞受賞に輝く初訳...記事を見る »
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2021年5月号掲載
歴史SFの大傑作を収めた『宇宙の春』が凄い!
731部隊を扱ったSFは日本でも先例があるが、歴史認識の問題とからめてここまでストレートに書いた作品は初めてだろう。ケン・リュウの邦訳第四短篇集『宇宙の春』(古沢嘉通編訳/新☆ハヤカワ・SF・シリー...記事を見る »
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2021年4月号掲載
米中2国が響き合う『謎SF』が楽しい!
謎SFって何?──と思った時からまんまと編者の術中にハマっている。柴田元幸・小島敬太編訳『中国・アメリカ 謎SF』(白水社)★★★★は、日本でまだあまり知られていない米中の(比較的)新しい作家の初訳...記事を見る »
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2021年3月号掲載
終末ロードノベル『サハリン島』がすさまじい!
年末に出たエドゥアルド・ヴェルキン『サハリン島』(北川和美・毛利公美訳/河出書房新社)★★★★がすさまじい。杉野ギーノスの装画、ハードカバー2段組400頁の物量と、見た目のインパクトも絶大だが、帯の...記事を見る »
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2021年2月号掲載
年代別海外SF傑作選が18年ぶりに復活!
山岸真編の『90年代SF傑作選』以来18年ぶりに、ハヤカワ文庫SFの年代別海外SF傑作選が復活、相次いで2冊刊行された。橋本輝幸編『2000年代海外SF傑作選』と『2010年代海外SF傑作選』★★★...記事を見る »
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2021年1月号掲載
大阪万博SFの決定版牧野修『万博聖戦』登場!
EXPO'70から半世紀、ついに大阪万博SFの決定版が登場した。『月世界小説』以来5年ぶりの書き下ろしSF長編となる牧野修『万博聖戦』(ハヤカワ文庫JA)★★★★½である。物語の始まりは1969年。...記事を見る »
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2020年12月号掲載
充実のイスラエルSF傑作集『シオンズ・フィクション』
米国以上に日本で大ヒットした『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』に始まるピーター・トライアスの巨大ロボット改変歴史SF三部作が『サイバー・ショーグン・レボリューション』(中原尚哉訳/ハヤカワ文...記事を見る »
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2020年11月号掲載
すばらしく魅力的な高山羽根子の偽史を見よ!
今年のSF界ビッグニュースのひとつは『首里の馬』の芥川賞受賞。その高山羽根子の、待望ひさしい初の書き下ろし長編『暗闇にレンズ』(東京創元社)★★★★★がついに出た。〝記録〟というテーマは『首里の馬』...記事を見る »
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2020年10月号掲載
『四畳半タイムマシンブルース』は最高に楽しいSFコラボである!
真夏のSFと言えば、映画化もされた上田誠の戯曲「サマータイムマシン・ブルース」が真っ先に思い浮かぶ。過去改変が不可能な決定論型タイムトラベルものの傑作ですが、この夏、なんとそれが『四畳半神話大系』と...記事を見る »
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2020年9月号掲載
伝法作品集からアンソロジーまで日本SF短編夏祭りだ!
今月の日本SF界隈で最大の話題は、高山羽根子『首里の馬』★★★★★の芥川賞受賞。中身は大塚真祐子さんのページで紹介されてるので詳述しませんが、資料館とクイズと宮古馬の三題噺(?)から最後に立ち上がっ...記事を見る »
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2020年8月号掲載
前人未踏の三部作『第五の季節』開幕!
今月は話題作がばかすか出ている。その一番手、N・K・ジェミシン『第五の季節』(小野田和子訳/創元SF文庫)★★★★は、2016年から3年連続でヒューゴー賞長篇部門制覇という前人未踏の快挙をなしとげた...記事を見る »
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2020年7月号掲載
魔法使いの少女と科学少年のボーイ・ミーツ・ガール小説
今月のイチ押しは、2017年のネビュラ賞長編部門とローカス賞ファンタジー長編部門を射止めたチャーリー・ジェーン・アンダーズ『空のあらゆる鳥を』(市田泉訳/創元海外SF叢書)★★★★½。SFとファンタ...記事を見る »
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2020年6月号掲載
数学の天才と史上最悪の軍師のミリタリースペオペ開幕!
日本でも大ヒットしたアン・レッキー《叛逆航路》に続き、同じ創元SF文庫から同じ赤尾秀子訳(+同じ渡邊利道の解説)で、同じく著者第一長篇となる凝った設定のミリタリースペースオペラが登場した。ユーン・ハ...記事を見る »
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2020年5月号掲載
中国SFアンソロジー第二弾『月の光』で時間SF祭り!
中国SFブームの立役者、ケン・リュウが自分で選んで英訳した現代中国SFアンソロジーの(英訳からの)邦訳第二弾、『月の光』(中原尚哉・大谷真弓・大森望・鳴庭真人訳/新☆ハヤカワ・SF・シリーズ円)★★...記事を見る »
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2020年4月号掲載
乾緑郎の改変歴史時代SF《機巧のイヴ》三部作完結!
新春恒例の『SFが読みたい! 2020年版』が出て、「ベストSF2019」が発表された。海外篇1位は劉慈欣『三体』。国内篇は、新鋭・伴名練の第一短篇集『なめらかな世界と、その敵』が、酉島伝法『宿借り...記事を見る »
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2020年3月号掲載
『荒潮』からヨンヒさんまでアジアSF大特集!
中国SFブームの未来を占う陳楸帆の第一長篇『荒潮』(新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)★★★★½が出た。『折りたたみ北京』の「鼠年」「麗江の魚」「沙嘴の花」と同様、中原尚哉がケン・リュウの英訳から邦訳し...記事を見る »
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2020年2月号掲載
最高に笑えるロボットSFコメディ誕生!
12月は注目の海外SFが目白押し。マーサ・ウェルズ『マーダーボット・ダイアリー』(中原尚哉訳/創元SF文庫)★★★★½は、同名シリーズの中篇4篇をまとめた日本オリジナルの連作集(4部構成の長篇のよう...記事を見る »
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2020年1月号掲載
当代日本最高の物語の18年ぶりの長篇を寿ぐ!
28年前、新潮文庫書き下ろしの『魔性の子』で始まった高里(と戴)の長い旅が、ついにゴールを迎えた。小野不由美『白銀の墟 玄の月』一〜四(新潮文庫)★★★★★である。当代日本最高の物語《十二国記》の1...記事を見る »
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2019年12月号掲載
本年度ベストSF上位候補小川哲『嘘と正典』が出た!
ベストテン年度もいよいよ最終コーナーですが、伴名練『なめらかな世界と、その敵』に続いて、今年のベストSF国内篇上位を争いそうな短篇集が登場した。小川哲『嘘と正典』(早川書房)★★★★½がそれ。全6編...記事を見る »
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2019年11月号掲載
"幻の名作"の大将格『パラドックス・メン』が出た!
『危険なヴィジョン』完全版完結に続いて、今度はワイドスクリーン・バロックの代名詞、チャールズ・L・ハーネス『パラドックス・メン』(中村融訳/竹書房文庫)★★★★がついに出た。時間が! 巻き戻ってる!!...記事を見る »
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2019年10月号掲載
日本SF短編の最先端伴名練作品集に五つ星!
原書刊行から52年。それを3分冊にした邦訳の1冊目が1983年に出たきり、日本では長く幻の本となっていた革命的オリジナル・アンソロジーがついに全訳された。ハーラン・エリスン編『危険なヴィジョン[完全...記事を見る »
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2019年9月号掲載
劉慈欣『三体』は歴史を動かす一冊だ!
自分が関わった本ですみませんが、今月はやっぱりこれ、中国SFの超話題作、劉慈欣『三体』(大森望、光吉さくら、ワン・チャイ訳、立原透耶監修/早川書房)から。 ケン・リュウによる英訳はアジア初&翻訳も...記事を見る »
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2019年8月号掲載
世界初の百合SFアンソロジーがすごい!
予告段階から話題沸騰、SFマガジン60年の歴史で初めての3刷(増刷2回)を記録した百合特集号('19年2月号)。同号掲載の5篇に4篇を加え、世界初の百合SFアンソロジー『アステリズムに花束を』(SF...記事を見る »
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2019年7月号掲載
感情の機微を細やかに描く菅浩江『不見の月』
三方行成『流れよわが涙、と孔明は言った』だけ、ひと足早く先月紹介したが、それと一緒に、同じハヤカワ文庫JAから同じハヤカワSFコンテスト出身の新鋭による書き下ろし長編が2冊出ている。柴田勝家『ヒト夜...記事を見る »
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2019年6月号掲載
次郎長三国志風本格SF『宿借りの星』が楽しい!
今月の目玉は、酉島伝法の待望ひさしい第2作にして初長編『宿借りの星』(東京創元社)★★★★★。2015年春、構想が紙芝居風に発表されてから4年。"邪悪なムーミンの話"は、凶状持ちの元組長が弟分と街道...記事を見る »
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2019年5月号掲載
日本SFエンタメ最高峰『天冥の標』堂々完結!
思えば長い道のりでした。第1巻から9年半を経て、世界に誇る日本のSFエンターテインメント最高峰、小川一水『天冥の標』全10巻・計17冊(いずれもハヤカワ文庫JA)★★★★★が完結した。 第8巻『ジ...記事を見る »
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2019年4月号掲載
ケン・リュウ『生まれ変わり』は今年の翻訳SFベスト1候補だ!
日本オリジナルのケン・リュウ短編集第三弾、『生まれ変わり』(古沢嘉通編/古沢嘉通・大谷真弓・幹遙子訳/新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)★★★★½が出た。02年の商業誌デビュー作から昨年発表の新作まで、...記事を見る »
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2019年3月号掲載
早川と創元の新旧二大巨頭が大激突だ!
今月の翻訳SFは、早川と創元で新旧二大巨頭が大激突。ともに内田昌之訳なので、さしずめ内田ダービーか──と思うと急に熱が冷めますが(個人の感想です)、現役代表は、2017年に出た、ジョン・スコルジーの...記事を見る »
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2019年2月号掲載
新創刊から電子書籍まで新春アンソロジー祭り!
東京創元社が日本SF専門誌をついに創刊! ってこれ、副題に「創元日本SFアンソロジー」とついてるし、だいいち単行本じゃん! ──と思うでしょうが、〈ミステリーズ!〉の前身の〈創元推理〉だって5号目ま...記事を見る »
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2019年1月号掲載
新人・三方行成の爆笑SF童話集登場!
今月は日本SFの新人のデビュー作ラッシュ。まずは、門田充宏『風牙』(東京創元社)★★★½から。表題作は、第5回創元SF短編賞受賞作(8月末に書籍化された高島雄哉「ランドスケープと夏の定理」と同時受賞...記事を見る »
- 大森望
書評家、翻訳家。責任編集の『NOVA』全10巻と、共編の『年刊日本SF傑作選』で、第34回と第40回の日本SF大賞特別賞受賞。著書に『21世紀SF1000』『同 PART2』『新編 SF訳講座』『50代からのアイドル入門』など。訳書に劉慈欣『三体』(共訳)、テッド・チャン『息吹』など。ゲンロン大森望SF創作講座」主任講師。
http://twitter.com/nzm