新刊めったくたガイド
1978年6月発行の第9号からスタートした「本の雑誌」の看板コーナーが、WEB本の雑誌に登場!
千街晶之 記事一覧
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2020年12月号掲載
オカルト+ミステリの達成『僕の目に映るきみと謎は』
超常的な現象を解明する探偵役が登場するホラーミステリをゴーストハンターものと呼ぶ。代表例としては小野不由美の「ゴーストハント」シリーズなどがあるが、井上悠宇『僕の目に映るきみと謎は』(角川文庫)には...記事を見る »
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2020年11月号掲載
芦沢央の連作ミステリー『僕の神さま』にお見事!
「神さま」と呼ばれている小学生が探偵役──と記すと、ミステリファンは麻耶雄嵩の『神様ゲーム』『さよなら神様』を想起するかも知れない。しかし、神託のように百パーセント無謬の答えを出し、犯人に非情な天誅を...記事を見る »
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2020年10月号掲載
謎の解明か迷宮入りか!? 小林一星のデビュー作登場!
五○パーセントの確率で放射線が放出されて猫が殺される仕掛けの箱があるとして、量子力学的には、箱を開けてそれを確認するまで、猫が死んでいる状態と生きている状態は五○パーセントずつの重ね合わせである──...記事を見る »
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2020年9月号掲載
芦辺拓『鶴屋南北の殺人』の入れ子構成に唸る!
思えば、もう十年ほど前からだろうか──『このミステリーがすごい!』や『本格ミステリ・ベスト10』の近況欄に、芦辺拓がひとつのタイトルを、原書房から刊行予定として毎年のように記すようになったのは。一向...記事を見る »
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2020年8月号掲載
現役バリバリ辻真先八十八歳の年間ベスト級ミステリだ!
今年、八十八歳を迎えた辻真先は、アニメ、ドラマ、ミステリといった戦後日本サブカルチャーの生き証人であると同時に、バリバリ現役のクリエイターでもある。その新作長篇『たかが殺人じゃないか 昭和24年の推...記事を見る »
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2020年7月号掲載
特殊設定とロジックがいっぱいの『透明人間は密室に潜む』に◎!
『名探偵は嘘をつかない』でデビューし、『星詠師の記憶』『紅蓮館の殺人』と一作ごとに評価をアップさせてきた本格ミステリ界の若き実力者・阿津川辰海。『透明人間は密室に潜む』(光文社)は、そんな著者の初短篇...記事を見る »
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2020年6月号掲載
転落中間管理職が裏社会の修羅場を走る!
決められたレールから一度転落したら元には戻れない現代社会。ならば、転落した時はどうすればいいのか......のヒントになるかも知れない小説が、福澤徹三『羊の国のイリヤ』(小学館)である。主人公の入矢...記事を見る »
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2020年5月号掲載
未知の世界の楽しさが詰まった『歌舞伎座の怪紳士』
この原稿を執筆しているのは三月半ばなので、本号が店頭に並ぶ頃にどうなっているかは全く予想がつかないけれども、現在、新型コロナウイルスが社会に及ぼした負の影響はとどまるところを知らず、小説方面の授賞式...記事を見る »
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2020年4月号掲載
紙の本ならではのミステリー『紙鑑定士の事件ファイル』
「宝島社は、電子書籍に反対です」という新聞広告が話題を呼んだのは二○一○年のことだったが、二○一九年からは同社も一部の自社刊行物の電子配信を始めている。時代の流れや、著者や読者の要望には抗えなかったか...記事を見る »
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2020年3月号掲載
宝石箱のように愛おしい服部まゆみ『最後の楽園』
服部まゆみといえば、銅版画家として出発し、一九八七年に『時のアラベスク』で第七回横溝正史賞を受賞して小説家デビュー、芸術や歴史に題材を採った耽美的な作風で根強い人気を誇った作家である。二○○七年に逝...記事を見る »
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2020年2月号掲載
山田正紀の時代小説が圧倒的に面白い!
山田正紀の時代小説というだけで面白いことは保証されている。だが、『大江戸ミッション・インポッシブル 顔役を消せ』(講談社文庫)は、その期待すらも軽々と上回る、圧倒的に面白い小説だ。主人公の川瀬若菜は...記事を見る »
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2020年1月号掲載
小役人が頑張る佐藤亜紀『黄金列車』を推す!
第二次世界大戦における東欧諸国というと、ポーランドやユーゴスラビアがナチスの侵攻を受けたことは知られているけれども、ハンガリーは何をしていたかと言われると大抵の日本人は「はて?」と首を傾げるのではな...記事を見る »
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2019年12月号掲載
米澤穂信『Iの悲劇』の異常すぎる動機に驚愕!
エラリー・クイーンの「悲劇四部作」にオマージュを捧げたタイトルの国産ミステリというと、夏樹静子の『Wの悲劇』『Mの悲劇』『Cの悲劇』をはじめ数多く、使われていないアルファベットもどんどん少なくなって...記事を見る »
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2019年11月号掲載
巻を措く能わずの『盲剣楼奇譚』が面白い!
タイトルと表紙イラストの印象から、島田荘司『盲剣楼奇譚』(文藝春秋)を時代小説だと思い込む読者も多そうだ。しかし、本書は吉敷竹史刑事シリーズの久々の新作である。敗戦直後、金沢の芸者置屋に立てこもり中...記事を見る »
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2019年10月号掲載
世界がひっくり返る下村敦史『絶声』がすごい!
文字通り、世界が引っくり返る感覚を味わえるミステリが、下村敦史『絶声』(集英社)だ。 昭和の大物相場師と呼ばれた堂島太平が行方不明になって七年が経った。いよいよ失踪宣告が成立し、遺産が手に入るとい...記事を見る »
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2019年9月号掲載
道尾秀介の実験的小説『いけない』を必読だ!
そういえば、道尾秀介というペンネームは都筑道夫に由来しているのだった──ということを久々に思い出させてくれたのが『いけない』(文藝春秋)だ。都筑道夫は、本の束見本に書かれた手記の体裁を取った『猫の舌...記事を見る »
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2019年8月号掲載
才気煥発なデビュー作『破滅の刑死者』を推す!
以前、このコーナーで紹介した浅倉秋成『教室が、ひとりになるまで』や、詠坂雄二の新刊『君待秋ラは透きとおる』、安萬純一の時代ミステリ『滅びの掟 密室忍法帖』等々、異能バトルと頭脳バトルを融合させた秀作...記事を見る »
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2019年7月号掲載
京極夏彦『今昔百鬼拾遺 鬼』の超絶技巧を見よ!
本を手に取った段階で、「京極夏彦がこんな短い長篇を書いたとは」と驚かされたのが『今昔百鬼拾遺 鬼』(講談社タイガ)である。 昭和二十九年、日本刀による殺傷事件が東京で続発し、「昭和の辻斬り事件」と...記事を見る »
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2019年6月号掲載
皆川博子『夜のアポロン』の一撃必殺の気合を見よ!
本当に優れた短篇小説は、一行目から本気で読者に斬りかかってくる──改めてそう感じさせるのが、皆川博子『夜のアポロン』(早川書房円)である。 二〇一八年にKADOKAWAから刊行された『夜のリフレー...記事を見る »
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2019年5月号掲載
『教室が、ひとりになるまで』の異能頭脳バトルに興奮!
今月のお薦めは浅倉秋成『教室が、ひとりになるまで』(KADOKAWA)。著者は、二○一二年に『ノワール・レヴナント』で第十三回講談社BOX新人賞"Powers"を受賞してデビューし、縦横無尽に伏線を...記事を見る »
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2019年4月号掲載
周木律の「堂」シリーズいよいよ完結!
第四十七回メフィスト賞を受賞した『眼球堂の殺人 〜The Book〜』に始まった周木律の「堂」シリーズが、文庫書き下ろしの第七作『大聖堂の殺人 〜The Books〜』(講談社文庫)で完結した。 ...記事を見る »
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2019年3月号掲載
神津凛子の"オゾミス"デビュー作『スイート・マイホーム』登場!
帯に「選考委員全員戦慄」「『イヤミス』を超えた、世にもおぞましい『オゾミス』誕生。」といったセンセーショナルな惹句が並んでいるのは、神津凛子のデビュー作『スイート・マイホーム』(講談社)。第十三回小...記事を見る »
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2019年2月号掲載
有力新人・伊吹亜門の『刀と傘』を一押しだ!
宮部みゆき『昨日がなければ明日もない』(文藝春秋)は、『誰か Somebody』に始まる杉村三郎シリーズの第五作。前作『希望荘』で杉村は私立探偵を開業したが、その彼のもとにいよいよ舞い込んできた三つ...記事を見る »
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2019年1月号掲載
阿津川辰海『星詠師の記憶』の推理の激突を見よ!
二○一七年、石持浅海と東川篤哉が審査員を務める新人発掘プロジェクト「カッパ・ツー」の第一回入選作『名探偵は嘘をつかない』でデビューした阿津川辰海が、第二作『星詠師の記憶』(光文社)を発表した。 未...記事を見る »