新刊めったくたガイド
1978年6月発行の第9号からスタートした「本の雑誌」の看板コーナーが、WEB本の雑誌に登場!
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2021年3月号掲載
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書評担当者:北上次郎
『羊は安らかに草を食み』にむくむく元気がわいてくる!
宇佐美まこと『羊は安らかに草を食み』(祥伝社)は、静かに幕を開ける。益恵八六歳の認知症の症状が少しずつ進行しているので、脚が丈夫なうちに、俳句仲間のアイ八〇歳、富士子七七歳が、益恵を連れて彼女がかつ...記事を見る »
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書評担当者:冬木糸一
世界の刑務所を渡り歩く『囚われし者たちの国』
まず紹介したいのは、世界の特徴的な刑務所を渡り歩き、罪に対する罰、許しとはなんなのか。刑務所は今の在り方のままでいいのかを考えていく、バズ・ドライシンガー『囚われし者たちの国 世界の刑務所に正義を訪...記事を見る »
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書評担当者:高頭佐和子
藤野千夜『じい散歩』にじわじわ心が温まる!
平日の昼間に外出すると、高齢男性が一人で散歩している姿をよく見かける。ファッションは、かなりの確率で帽子に肩掛けバッグだ。ほぼ全員がかの名優・地井武男氏が出演していた人気番組「ちい散歩」を見ていたの...記事を見る »
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書評担当者:
じっくり読ませる警察小説佐々木譲『雪に撃つ』がいい!
気軽に出かけるわけにもいかないこの状況で、毎年開催されていた行事も多くが影響を受けている。札幌の雪まつりもその一つだが、佐々木譲の『雪に撃つ』(角川春樹事務所)では、例年どおり無事に開催されている。...記事を見る »
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書評担当者:大森望
終末ロードノベル『サハリン島』がすさまじい!
年末に出たエドゥアルド・ヴェルキン『サハリン島』(北川和美・毛利公美訳/河出書房新社)★★★★がすさまじい。杉野ギーノスの装画、ハードカバー2段組400頁の物量と、見た目のインパクトも絶大だが、帯の...記事を見る »
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書評担当者:藤ふくろう
前門のストーカー、後門の同調圧力『ミルクマン』
皆と同じだと「普通」で、少しでもズレたことをすれば「普通じゃない」と集中攻撃と排除の対象になる。そんな閉鎖的社会の暗黒に、ストーカーという暗黒を掛け合わせた「暗黒特盛り小説」が、アイルランドからやっ...記事を見る »
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書評担当者:吉野仁
H・コーベン『ランナウェイ』に胸がしめつけられる!
この小説、年ごろの娘をもつ父親が読みはじめたら、いたたまれない気持ちでいっぱいとなり、息苦しさで倒れてしまうんじゃなかろうか。なにせ独身の自分でさえ、ホームレス同然の姿の娘を必死の思いで追いかける主...記事を見る »
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書評担当者:北上次郎
85年前の台湾が鮮やかに蘇る『台湾博覧会1935』が面白い!
いやあ、面白い。陳柔縉『台湾博覧会1935 スタンプコレクション』(中村加代子訳/東京堂出版)だ。読み始めたらやめられず、一気読みしてしまった。 意外なのはまず、楊雲源という台湾人の生涯が描かれる...記事を見る »
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書評担当者:冬木糸一
教育の力を実感させる衝撃の回顧録
教育は人をどれほど変えうるのか。それをまざまざと実感させてくれるのが、タラ・ウェストーバーによる回顧録『エデュケーション 大学は私の人生を変えた』(村井理子訳/早川書房)だ。大学が人生を変えるのは当...記事を見る »
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書評担当者:高頭佐和子
『私を月に連れてって』の歪みない視線にハッとする
鈴木るりか『私を月に連れてって』(小学館)の刊行が嬉しい。二〇一七年に中学生作家としてデビューし、毎年十月に田中花実親子のシリーズを発表してきた著者だが、今年は刊行されなかった。学業が忙しいのか、も...記事を見る »
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書評担当者:古山裕樹
掃除機探偵のロードノベル『地べたを旅立つ』がいいぞ!
このシリーズを初めて読んだのは、もう十年以上前のことなのか......と、少し感慨にふけってしまった。 乾くるみの『カラット探偵事務所の事件簿3』(PHP文芸文庫)は、「謎解き専門」の看板を掲げた...記事を見る »
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書評担当者:大森望
年代別海外SF傑作選が18年ぶりに復活!
山岸真編の『90年代SF傑作選』以来18年ぶりに、ハヤカワ文庫SFの年代別海外SF傑作選が復活、相次いで2冊刊行された。橋本輝幸編『2000年代海外SF傑作選』と『2010年代海外SF傑作選』★★★...記事を見る »
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書評担当者:藤ふくろう
ごはん文学! 韓国文学!『きょうの肴なに食べよう?』
人がふたり以上集まれば、自然と食事の話になる。食事の話は、話すのも聞くのも、書くのも読むのも楽しい。だから海外ごはん文学の話をしよう。カルミネ・アバーテ『海と山のオムレツ』(関口英子訳/新潮社)は、...記事を見る »
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書評担当者:吉野仁
濃厚ゴシック・ミステリ『ホテル・ネヴァーシンク』が素晴らしい!
世界のあらゆるミステリ賞のなかで、アメリカ探偵作家クラブによるエドガー賞の注目度が高いのは、その歴史と実績にあるのだろう。年度は異なるが、エドガー賞三部門の受賞作が邦訳された。なかでも素晴らしいのは...記事を見る »