新刊めったくたガイド
1978年6月発行の第9号からスタートした「本の雑誌」の看板コーナーが、WEB本の雑誌に登場!
大森望 記事一覧
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2020年12月号掲載
充実のイスラエルSF傑作集『シオンズ・フィクション』
米国以上に日本で大ヒットした『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』に始まるピーター・トライアスの巨大ロボット改変歴史SF三部作が『サイバー・ショーグン・レボリューション』(中原尚哉訳/ハヤカワ文...記事を見る »
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2020年11月号掲載
すばらしく魅力的な高山羽根子の偽史を見よ!
今年のSF界ビッグニュースのひとつは『首里の馬』の芥川賞受賞。その高山羽根子の、待望ひさしい初の書き下ろし長編『暗闇にレンズ』(東京創元社)★★★★★がついに出た。〝記録〟というテーマは『首里の馬』...記事を見る »
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2020年10月号掲載
『四畳半タイムマシンブルース』は最高に楽しいSFコラボである!
真夏のSFと言えば、映画化もされた上田誠の戯曲「サマータイムマシン・ブルース」が真っ先に思い浮かぶ。過去改変が不可能な決定論型タイムトラベルものの傑作ですが、この夏、なんとそれが『四畳半神話大系』と...記事を見る »
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2020年9月号掲載
伝法作品集からアンソロジーまで日本SF短編夏祭りだ!
今月の日本SF界隈で最大の話題は、高山羽根子『首里の馬』★★★★★の芥川賞受賞。中身は大塚真祐子さんのページで紹介されてるので詳述しませんが、資料館とクイズと宮古馬の三題噺(?)から最後に立ち上がっ...記事を見る »
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2020年8月号掲載
前人未踏の三部作『第五の季節』開幕!
今月は話題作がばかすか出ている。その一番手、N・K・ジェミシン『第五の季節』(小野田和子訳/創元SF文庫)★★★★は、2016年から3年連続でヒューゴー賞長篇部門制覇という前人未踏の快挙をなしとげた...記事を見る »
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2020年7月号掲載
魔法使いの少女と科学少年のボーイ・ミーツ・ガール小説
今月のイチ押しは、2017年のネビュラ賞長編部門とローカス賞ファンタジー長編部門を射止めたチャーリー・ジェーン・アンダーズ『空のあらゆる鳥を』(市田泉訳/創元海外SF叢書)★★★★½。SFとファンタ...記事を見る »
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2020年6月号掲載
数学の天才と史上最悪の軍師のミリタリースペオペ開幕!
日本でも大ヒットしたアン・レッキー《叛逆航路》に続き、同じ創元SF文庫から同じ赤尾秀子訳(+同じ渡邊利道の解説)で、同じく著者第一長篇となる凝った設定のミリタリースペースオペラが登場した。ユーン・ハ...記事を見る »
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2020年5月号掲載
中国SFアンソロジー第二弾『月の光』で時間SF祭り!
中国SFブームの立役者、ケン・リュウが自分で選んで英訳した現代中国SFアンソロジーの(英訳からの)邦訳第二弾、『月の光』(中原尚哉・大谷真弓・大森望・鳴庭真人訳/新☆ハヤカワ・SF・シリーズ円)★★...記事を見る »
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2020年4月号掲載
乾緑郎の改変歴史時代SF《機巧のイヴ》三部作完結!
新春恒例の『SFが読みたい! 2020年版』が出て、「ベストSF2019」が発表された。海外篇1位は劉慈欣『三体』。国内篇は、新鋭・伴名練の第一短篇集『なめらかな世界と、その敵』が、酉島伝法『宿借り...記事を見る »
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2020年3月号掲載
『荒潮』からヨンヒさんまでアジアSF大特集!
中国SFブームの未来を占う陳楸帆の第一長篇『荒潮』(新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)★★★★½が出た。『折りたたみ北京』の「鼠年」「麗江の魚」「沙嘴の花」と同様、中原尚哉がケン・リュウの英訳から邦訳し...記事を見る »
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2020年2月号掲載
最高に笑えるロボットSFコメディ誕生!
12月は注目の海外SFが目白押し。マーサ・ウェルズ『マーダーボット・ダイアリー』(中原尚哉訳/創元SF文庫)★★★★½は、同名シリーズの中篇4篇をまとめた日本オリジナルの連作集(4部構成の長篇のよう...記事を見る »
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2020年1月号掲載
当代日本最高の物語の18年ぶりの長篇を寿ぐ!
28年前、新潮文庫書き下ろしの『魔性の子』で始まった高里(と戴)の長い旅が、ついにゴールを迎えた。小野不由美『白銀の墟 玄の月』一〜四(新潮文庫)★★★★★である。当代日本最高の物語《十二国記》の1...記事を見る »
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2019年12月号掲載
本年度ベストSF上位候補小川哲『嘘と正典』が出た!
ベストテン年度もいよいよ最終コーナーですが、伴名練『なめらかな世界と、その敵』に続いて、今年のベストSF国内篇上位を争いそうな短篇集が登場した。小川哲『嘘と正典』(早川書房)★★★★½がそれ。全6編...記事を見る »
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2019年11月号掲載
"幻の名作"の大将格『パラドックス・メン』が出た!
『危険なヴィジョン』完全版完結に続いて、今度はワイドスクリーン・バロックの代名詞、チャールズ・L・ハーネス『パラドックス・メン』(中村融訳/竹書房文庫)★★★★がついに出た。時間が! 巻き戻ってる!!...記事を見る »
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2019年10月号掲載
日本SF短編の最先端伴名練作品集に五つ星!
原書刊行から52年。それを3分冊にした邦訳の1冊目が1983年に出たきり、日本では長く幻の本となっていた革命的オリジナル・アンソロジーがついに全訳された。ハーラン・エリスン編『危険なヴィジョン[完全...記事を見る »
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2019年9月号掲載
劉慈欣『三体』は歴史を動かす一冊だ!
自分が関わった本ですみませんが、今月はやっぱりこれ、中国SFの超話題作、劉慈欣『三体』(大森望、光吉さくら、ワン・チャイ訳、立原透耶監修/早川書房)から。 ケン・リュウによる英訳はアジア初&翻訳も...記事を見る »
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2019年8月号掲載
世界初の百合SFアンソロジーがすごい!
予告段階から話題沸騰、SFマガジン60年の歴史で初めての3刷(増刷2回)を記録した百合特集号('19年2月号)。同号掲載の5篇に4篇を加え、世界初の百合SFアンソロジー『アステリズムに花束を』(SF...記事を見る »
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2019年7月号掲載
感情の機微を細やかに描く菅浩江『不見の月』
三方行成『流れよわが涙、と孔明は言った』だけ、ひと足早く先月紹介したが、それと一緒に、同じハヤカワ文庫JAから同じハヤカワSFコンテスト出身の新鋭による書き下ろし長編が2冊出ている。柴田勝家『ヒト夜...記事を見る »
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2019年6月号掲載
次郎長三国志風本格SF『宿借りの星』が楽しい!
今月の目玉は、酉島伝法の待望ひさしい第2作にして初長編『宿借りの星』(東京創元社)★★★★★。2015年春、構想が紙芝居風に発表されてから4年。"邪悪なムーミンの話"は、凶状持ちの元組長が弟分と街道...記事を見る »
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2019年5月号掲載
日本SFエンタメ最高峰『天冥の標』堂々完結!
思えば長い道のりでした。第1巻から9年半を経て、世界に誇る日本のSFエンターテインメント最高峰、小川一水『天冥の標』全10巻・計17冊(いずれもハヤカワ文庫JA)★★★★★が完結した。 第8巻『ジ...記事を見る »
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2019年4月号掲載
ケン・リュウ『生まれ変わり』は今年の翻訳SFベスト1候補だ!
日本オリジナルのケン・リュウ短編集第三弾、『生まれ変わり』(古沢嘉通編/古沢嘉通・大谷真弓・幹遙子訳/新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)★★★★½が出た。02年の商業誌デビュー作から昨年発表の新作まで、...記事を見る »
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2019年3月号掲載
早川と創元の新旧二大巨頭が大激突だ!
今月の翻訳SFは、早川と創元で新旧二大巨頭が大激突。ともに内田昌之訳なので、さしずめ内田ダービーか──と思うと急に熱が冷めますが(個人の感想です)、現役代表は、2017年に出た、ジョン・スコルジーの...記事を見る »
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2019年2月号掲載
新創刊から電子書籍まで新春アンソロジー祭り!
東京創元社が日本SF専門誌をついに創刊! ってこれ、副題に「創元日本SFアンソロジー」とついてるし、だいいち単行本じゃん! ──と思うでしょうが、〈ミステリーズ!〉の前身の〈創元推理〉だって5号目ま...記事を見る »
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2019年1月号掲載
新人・三方行成の爆笑SF童話集登場!
今月は日本SFの新人のデビュー作ラッシュ。まずは、門田充宏『風牙』(東京創元社)★★★½から。表題作は、第5回創元SF短編賞受賞作(8月末に書籍化された高島雄哉「ランドスケープと夏の定理」と同時受賞...記事を見る »
- 大森望
書評家、翻訳家。責任編集の『NOVA』全10巻と、共編の『年刊日本SF傑作選』で、第34回と第40回の日本SF大賞特別賞受賞。著書に『21世紀SF1000』『同 PART2』『新編 SF訳講座』『50代からのアイドル入門』など。訳書に劉慈欣『三体』(共訳)、テッド・チャン『息吹』など。ゲンロン大森望SF創作講座」主任講師。
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